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もの言う株主…村上ファンド“残党”が狙う意外な企業

文書で圧力、増配など株主還元を暗に要求

村上世彰被告(クリックで拡大)

 6月下旬の株主総会シーズンを前に、もの言う株主として知られた村上ファンド(解散)の出身者が率いる投資ファンドが活発な動きをみせ、市場で話題になっている。活動対象企業のなかにはなじみは薄いがキャッシュが潤沢な企業もあり、「かつての村上ファンドをほうふつさせる」(証券関係者)との声も出ている。

 活発な動きをみせているのは、シンガポールに拠点を置く「エフィッシモ キャピタル マネージメント」。村上世彰被告=写真、証券取引法違反事件で上告中=がかつて率いたMACアセットマネジメント(村上ファンド)でファンドマネジャーを務めていた高坂卓志氏が代表者となっている。

 エフィッシモは4月に入り、「私どもの議決権行使に関する考え方」と題する文書を投資先企業に送付。そのなかで、「株主総会での取締役の選任にあたり、株主資本利益率(ROE)が8%以上であるかどうかを考慮する」としている。

 ROEとは、株主から預かった資金や利益剰余金などで事業を行い、どれくらい稼いだかを示す数値。数値が高いほど効率よく稼いでいる優良企業ということになる。

 文章は「そのROEが8%以下なら、総会で取締役選任に反対することもあり得るぞと、暗に圧力をかけている」(市場筋)わけだ。

 その文書の送付先の1つが、東京都立川市にある東証2部上場の不動産賃貸業「立飛(たちひ)企業」だ。株式の大量保有報告書によると、エフィッシモは3月末時点で同社株の約13%(5月15日時点では約14%)を保有している。

 旧社名は立川飛行機。戦前は戦闘機「隼」などを製造していたが、敗戦で社有地を米軍に接収された。その後、立飛企業として存続。76年に米軍から製造所跡地約65万平方メートル(東京ドーム約14個分)の土地が返還されると、その土地を利用してビルや倉庫の不動産賃貸業などを行っている。

 2009年3月期の連結業績は、売上高が71億円、営業利益が42億円。営業利益率(売上高に対する営業利益の割合)は59%と極めて高いが、ROEは6.0%にとどまっている。

 これは、ROEを算出する際の「分母」に当たる株主資本が分厚いためで、株主資本に含まれる利益剰余金(毎年の利益の積み重ね)は実に438億円もある。資産に目を向けると、現金・預金が95億円もあるキャッシュリッチぶりだ。

 「エフィッシモは会社のなかで眠っている資金が多いことに目を付け、大量の資金をただ眠らせておくくらいなら、自社株買いや増配などで株主に還元しろといっているわけだ」(同)

 立飛企業は09年3月期末の配当金を10円増やす一方、決算短信で「内部留保資金は、将来の事業展開への備えと老朽化した建物の建て替え等の原資として投入する」などと記している。

 エフィッシモへの反論ともとれるが、立飛企業総務部は否定。ROE向上については、「社会情勢、地域環境などを考慮しながら、堅実に実績を積み上げたい」(同部)としている。

 同社の株式はグループ企業と親密企業が大量保有しているため、会社側の議案が否決されることはない。が、お金をため込んだ状態があまり長く続くと、市場から「資金を効率的に活用できない企業」とのらく印を押されかねない。

ZAKZAK 2009/06/02

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