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小泉改革がまた…政投銀、完全民営化撤回されたワケ

政府が発行済み株式総数の3分の1超を今後も保有

 小泉純一郎政権(2001年4月〜06年9月)の目玉だった日本郵政が波紋を広げるなか、小泉改革の1つとして完全民営化されるはずだった日本政策投資銀行も揺れ動いている。同行の全株式を保有する政府が、将来も発行済み株式総数の3分の1超を保有し続ける見通しとなり、完全民営化路線が事実上撤回されるからだ。これにより、同行の将来像は一段と見えにくくなってきた。

 日本政策投資銀行(政投銀)の完全民営化は05年、小泉政権が政府系金融改革の一環として閣議決定。同行は昨年10月に株式会社化された。

 ところが、100年に一度の経済危機で事情が一変。株価下落で銀行などの貸し出し余力低下が不安視されるなか、政府は政投銀などを活用した企業の資金繰り支援に乗り出した。

 政府支援のもと、政投銀は国内の大企業に低利融資をしたり、企業が短期資金を調達するために発行するコマーシャルペーパー(CP)を買い取ったりした。

 4月には、経営不振に陥った企業を政党銀の出資により支援する制度も創設。一流の大企業ですら資金繰りに深刻な危機感を抱いた昨年末から年明けにかけては、「経営トップ自らが入れ代わり立ち代わり、東京・大手町にある政投銀の本店を訪問していた」(東京・大手町勤務の証券マン)という。

 こうして痛んだ企業の「最後の貸し手」としての存在感が高まると同時に、政投銀に対して将来も何らかの政府関与を求める機運が政官財界に広がっていった。

 こうした流れを受け、与党は政投銀の財務基盤強化を目指すとともに、全株式を保有する政府が将来も発行済み株式総数の3分の1超を保有し続けるとの条項を盛り込んだ政投銀法改正案を国会に提出。この段階ですでに、小泉政権下で敷いた完全民営化路線からの後退は不可避となった。

 与野党は結局、11年度末までに「政府による株式保有のあり方を含めた組織のあり方を見直し、必要な措置を講じる」ことで合意。所管大臣の与謝野馨財務相は、政投銀が今後力を入れるべき分野として、環境や、民間金融機関が融資しにくい新規分野などを示唆している。

【「病んだ企業」に低利で融資】

 政府を後ろ盾にした政投銀が、低利で長期資金を供給し続ければ、同行と協調融資などを行う民間金融機関も貸出金利を抑制せざるを得ない。景気回復が本格化した場合は「民業圧迫」との反発が生じる可能性もある。危機対応業務は未来永劫続くわけではなく、民間と政投銀のある程度の業務の線引きを検討する必要がありそうだ。

 政投銀が危機対応策として昨年10月に始めた融資の累計額は5月末時点で1兆4322億円(384件)に達している。さらに大企業などへの出資も始まる。

 金融危機により一時的に資金繰りに行き詰まった企業を公的に支援することについては異論が少ないだろうが、市場から退場すべき企業まで救ってしまうのは本末転倒。淘汰されてもおかしくない「ゾンビ企業」への金融支援が、バブル崩壊後の日本の景気回復の足を引っ張ったとの指摘は多い。

 それだけに、「政投銀が個別企業に投融資するかどうか判断する際、政府が恣意的に影響力を行使することができない仕組み作りも急務」(金融アナリスト)となる。

ZAKZAK 2009/06/15

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