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映画切手が起こした奇跡

1.日本を代表する20作品発行

2.1本の新聞記事きっかけに

3.鶴田浩二の素晴らしさを再評価

4.邦画を愛する思いが集結


4.邦画を愛する思いが集結


【「懐かし」と「現代」の2シート】

“日本映画切手「懐かしの名作」には、「キューポラのある街」や「七人の侍」「眠狂四郎」「東京物語」「ギターを持った渡り鳥」などが並ぶ
日本映画切手「懐かしの名作」には、「キューポラのある街」や「七人の侍」「眠狂四郎」「東京物語」「ギターを持った渡り鳥」などが並ぶ
 「いま、生田総裁あての手紙を届けました」

 映像産業振興機構の内山浩昭(45)はこう電話報告を終えて汗をぬぐった。平成17年7月19日午後、太平洋高気圧が張り出した東京の気温は、梅雨明け後の最高となる33度を超えていた。

 内山は同機構理事長である松竹社長の迫本淳一(53)が、日本映画を題材とする特殊切手の発行を求めて日本郵政公社総裁の生田正治(71)に書いた手紙を一刻も早く届けるため、銀座の松竹本社から約2キロ離れた霞が関の郵政公社まで急いできたのだ。

 「日本映画は世界に誇れる偉大な文化。多くの人々に夢と希望を与え、経済発展にも貢献してきた。ぜひ、これを切手にしたい」

 映画切手発行を目指し、6年から活動してきた日本映画撮影監督協会理事の青木圭志(64)らの思いは、周囲の心を揺さぶり、賛同者や協力者が現れていた。

 迫本の手紙は、映像関係業界として郵政公社の配慮を求めるものだった。東京国際映画祭チェアマンであり角川ホールディングスCEOの角川歴彦(62)、経団連エンターテインメント部会会長でありギャガ・コミュニケーションズ会長の依田巽(66)も協力を惜しまなかった。同年8月の郵政公社審議会、10月の経営委員会、11月の理事会を経て、映画切手の正式発行が決まった。

 ただ、難題があった。特殊切手の発行は80円切手10枚で1シートというのが慣例だが、100年を超える日本映画の膨大な作品の中から、10作品だけを選ぶのは至難の業だったのだ。

 「最高の映画切手を作るため、2シート20枚(20作品)にしてはどうか」という意見が、郵政公社の内外からわき起こった。子供から大人まで世代を超えた人々の心に残る映画の特殊性を考えて、公社は映画切手を「懐かしの名作」「現代の名作」に分け、2シート20枚で発行することに決めた。

 今年1月以降、具体的な作品選考とともに、横長の映画のシーンを縦長の切手サイズに合わせる作業が始まった。公社のデザイン担当者は何度も映画会社に足を運び、日本映画を代表する20カットを選び出した。彼らもまた、熱い映画人の目をしていた。

 映画会社もまた、最良の映像提供のために気持ちよく協力した。

 「映画切手が手紙に載って海を越え、日本の文化を伝える小さな文化大使となるなんて素晴らしいことだ。人生の中で、心に残る仕事になった」

 映画を愛する人々の思いが奇跡のように結集した映画切手。第19回東京国際映画祭の時期に合わせて10月10日に発行される。=敬称略

(矢野将史)=この項終わり



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