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中朝国境ルポ
〜北の国から2006夏〜

1.中国の警備隊員も「貧乏だろ」とあざ笑うサビだらけの鉄道

2.1日1往復の貨物列車が唯一の交流のどかな町に緊張感

3.公安にマークされ連行

4.新商売!?“高級”画廊を発見


1.中国の警備隊員も「貧乏だろ」とあざ笑うサビだらけの鉄道


【窓ガラスがない“太陽の国”】

中朝国境の線路。白い国境線の向こう、北朝鮮側(奥)はボロボロになっていた
中朝国境の線路。白い国境線の向こう、北朝鮮側(奥)はボロボロになっていた
 「ここを見てくれ。こっちが中国。線路がキレイでキチンと整備されているだろう。白い線から向こうは北朝鮮。とても貧乏だ」−

 中国と北朝鮮を結ぶ鉄橋の上。中国側の国境警備隊員はカタコトの英語で、あまりにみすぼらしい保線の状況をバカにした。隊員の指さす方向はサビだらけ。枕木は腐食して欠け落ち、犬釘がむき出しになっている。「旧日本軍が敷設した鉄道施設を今もそのまま使用している」(隊員)といい、いつ脱線してもおかしくない。

 1つの鉄橋でも中国側の半分がピカピカ、北朝鮮側のもう半分はサビだらけという実に異様な光景。それでも一応、鉄道は動いているらしく、遠くで「ピーッ」という汽笛が聞こえた。

 中国・遼寧省の省都、瀋陽から山道を走ること数時間。国境となる鴨緑江(おうりょくこう)の先は北朝鮮・慈江道(チャガンド)の小都市が広がっていた。

 冬にはマイナス10度以下になるのが普通のこの地域でも初夏の日差しはきつく、気温は軽く30度を超える。北朝鮮の川岸には子供たちが集まり、キャーキャーと水遊びを楽しんでいた。

 一方、大人は2人がかりで網を持って魚を追ったり、おばさんが鍋釜を洗うなど、川はサバイバルの糧となっていた。

 川岸から町に目をやるとさらに風景は不気味になる。わざわざ中国側へ見せつけるように「21世紀の太陽、金正日将軍万歳!」と朝鮮語で書かれた看板が嫌というほど何カ所も設置してある。奥のほうには巨大なコンクリート造りの“奉安殿”があり、金日成(キム・イルソン)主席の肖像画が頭をのぞかせていた。畑には人々が1列に並び、くわを入れる。小学生ぐらいの子供も動員されていた。

 そんな“21世紀の太陽”が統治する国。役所らしきコンクリート製の建物には窓があるものの、ガラスは皆無だった。「北朝鮮ではガラスが貴重品。転売目的で盗まれたか、ガラスを外して別の用途に使ったのだろう」(北朝鮮研究家)

 とにかく、川から観察するだけでもエネルギーが極端に不足しているのがよくわかる。ガソリンが不足しているため、トラックには木炭を燃やす部品が付属していた。人々の移動手段はもっぱら自転車。「ほとんどが日本の放置自転車で舞鶴や境港から北の貨物船に山積みされて、輸出されたもの」(同)といい、急勾配の峠でもスイスイ進んでいく姿が見える。

 日本でいう3大ライフラインのうち、2つが存在しない。住宅には複数の煙突があり、ガスはない。川ではおばさんたちがせっせと洗濯物を洗い、若者はせっけんを付けて体を洗う。つまり水道もきていない。

 推定70億円もかけたミサイル発射。その裏で北朝鮮国民は21世紀の今日でもドラマ「北の国から」のような前近代的な貧乏生活を強いられている。(北朝鮮問題取材班)

 ◇

 ミサイル発射後の中朝国境地帯を歩いてみた。貧しい暮らしに怪しいビジネス…。北朝鮮の今を見てみる。



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