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中朝国境ルポ
〜北の国から2006夏〜

1.中国の警備隊員も「貧乏だろ」とあざ笑うサビだらけの鉄道

2.1日1往復の貨物列車が唯一の交流のどかな町に緊張感

3.公安にマークされ連行

4.新商売!?“高級”画廊を発見


3.公安にマークされ連行


【朝鮮文化に興味ある学生とごまかしたが・・・】

北朝鮮の人々を写した写真をみて、中国公安関係者は消去を要求した=北朝鮮・慈江道
北朝鮮の人々を写した写真をみて、中国公安関係者は消去を要求した=北朝鮮・慈江道
 北朝鮮の貿易品を探して中朝国境の町をさまよった後、中国のある都市に向かう貨物列車の出発時間となった。駅へ向かおうとしたそのとき、3人の男に取り囲まれた。

 ポロシャツ姿でいかにも人が良さそうな表情。ホテルか飲食店の客引きとみて「不要(プーヤオ)」とあしらうが、今度は腕をつかんできた。「何だ」と声を荒らげるとポケットから身分証を取り出した。「公安」の文字…。そのまま警察署へ直行となった。

 どこからマークされたのか。その日は中朝国境を流れる鴨緑江(おうりょくこう)の岸や貸しボートの上から望遠レンズを使って北朝鮮側の写真を撮った。

 3階の取調室へ通される。「観光客だ。なぜ捕まえるのか」と繰り返し抗議する。取調官はノートに「去不了(行ってはならない)」とだけ書いた。「トイレに行かせてくれ」と頼むと、監視役が3人もつき、じっと小便をするのを見守った。完全に犯罪者扱いだ。

 荷物をひっくり返され、1つ1つ念入りにチェック。田舎警官にもかかわらず、デジタルカメラを慣れた手つきで操作し、1枚1枚画像をチェックし始めた。

 30分ほどすると日本語通訳の女性が到着。係官は「なぜ北朝鮮の写真ばかり撮っている」「職業は何だ」「きょうの行動を教えろ」と本格的な調べが始まった。

 質問に対し、一貫して「朝鮮文化に興味がある学生だ」とハッタリを主張。すると取調官は「朝鮮文化に興味があるならなぜ、近くにある有名な遺跡を見に行かないのか」と、重箱の隅をつつくような尋問で応酬してきた。

 2時間が経過した。取調官は頻繁に携帯電話でどこかと連絡を取り合う。なぜか彼の携帯電話の着メロは、昨年日本でヒットした「恋のマイアヒ」だ。「ノマノマイェイ」とマヌケなメロディーが流れるが、一向に厳しい表情を崩さない。

 聞きたいことをすべて聞き尽くした取調官は黙ってしまった。そこで通訳の女性と雑談をしてみた。女性の名は朴(パク)さん。普段は近くの大学で日本語の講師をしているらしい。「きょうは家でくつろいでいるところを呼び出された。日本人が1人でやってくるのは珍しい」と、田舎町で目立ってしまったことが災いしたようだ。

 「この町には冬に北朝鮮から多くの人が逃げてくる。川が凍って渡れるようになるのです。朝鮮族はとても多いが、かくまうことはしない。ここは人口が少なくて目立つので、北からきた人は瀋陽を目指し、人込みにまぎれる」。朴さんは“逆取材”とはつゆ知らず、いろいろ事情を教えてくれた。

 「私も対岸の町に生徒を連れて行ったことがある。平壌とかへ行くにはパスポートが必要だが、対岸の町だけだと必要ないんです。昔は向こうの人も衣料品を売りにきていたが、今はまったくない」と振り返る。

 話に花を咲かせるうちにA4版7枚の調書が完成した。取調官は「あなたは国境で写真を写してはならないという中国の法律を破りました。この場で写真を消しなさい」と語気を強める。

 そして、「学生だったら、もっとちゃんとしなさい」と、おせっかいな説教までしてようやく解放。もちろん写真は消したフリをしてごまかした。

 外はもう日が暮れて暗くなっていた。(北朝鮮取材班)



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