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変わりゆく「街」

1.山谷

2.あいりん地区

3.横浜・寿町


1.山谷


【労働者減少、高齢化で簡易宿泊所も半減】

 労働者たちの“聖地”「ドヤ街」。名の由来は「宿(やど)」をもじったという簡易宿泊所が林立する街が、いま変わりつつあるという。労働者の高齢化、外国人旅行者の増加…。東京、横浜、大阪で変わりゆく街を歩いてみる。

 JR南千住駅から南に約1キロ、東京都台東区から荒川区にまたぐ一帯は通称・山谷と呼ばれ、簡易宿泊所が集まる。宿泊客の大半は労働者だが、昭和38年には400軒以上あった宿泊所も不況や労働者の高齢化により半減。さらに客層も様変わりしつつある。

 かつては宿泊客の1割程度だった生活保護受給者が、高齢で働けなくなる労働者が増えたため、6割にも達する。宿泊所のひとつ「ニュー紅陽」の従業員は、「10年近く居住している人もいる」と話すように、長逗留も増えている。

 労働者が減少するなか、「ニュー紅陽」は将来の尻すぼみを憂慮し、全国で初めて、外国人旅行者を宿泊客として呼び込んだ。山谷で生まれ育ち、飲食店を経営する中村裕次さん(42)は「欧米のバックパッカー向けの、有名なイギリスのガイドブックで紹介されて外国人がよく来るようになった」という。

 外国人のみならず一般客の呼び込みも盛んだ。

 170軒ある旅館で作る「城北旅館組合」は一般客向けに山谷中心のマップを作成、ホームページでも宣伝する。三代にわたって山谷で簡易宿泊所を経営する帰山哲男さん(56)は「最近は、出張や受験のためにサラリーマンや学生さんも利用している」という。

 客層の変化で、旅館の設備や値段も変わってきた。宿泊客の多くが労働者だったころは1泊1000円台のドミトリータイプ(雑居)が主流だったが、記者が泊まった部屋は3畳の個室で1泊2700円。洗濯機、風呂にシャワー完備。高層化も進み、ビジネスホテルのような外観の一般客向けのホテルが5軒新築、2軒が建設中だ。

 かつての山谷を見つけに通りを歩く。

 ふらりと入った食堂は、モツ焼き1本90円でビール400円、定食は400円からだ。腹一杯食べても1000円でお釣りがくる。隣でデキあがっていた初老の2人組が、「1億円盗まれた」としきりに訴える男性に、真偽のほどを大声で確かめていた。

 山谷のど真ん中にある「いろは商店街」にある酒屋前のゴミ箱には、空になった酒のカップが山積みにされていた。すえた臭いが漂う商店街にはたくさんのホームレスの姿。ただ、若い人は驚くほど少ない。

 労働者が少なくなったとはいえ、「今でも仕事を探す人はいる」(宿泊所従業員)という。泪橋交差点付近の路地。手配師と呼ばれる斡旋業者は「最近はめっきり仕事が減った」とぼやいた。

 公園の傍では早朝だけの露店が並んでいた。建設機材や仕事に不可欠という安全帯などのほか、「元値は1万5000円」(店主)というレコーダーは破格の1000円。タバコは30円引き、電池は原価よりも安く買える。だが、地元民は、なぜか「泥棒市」と呼ぶ。たき火にあたり、路上で寝るホームレスを見た。押し寄せる変化と現実。山谷は今後、どこにいくのか。



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