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500円の夢
〜DVDを取り巻くヒトビト〜

1.ワンコインが団塊世代を魅了

2.生き残りかけソフト探し

3.著作権料の壁乗りこえ「おそ松くん」発売


3.著作権料の壁乗りこえ「おそ松くん」発売


【「眠っているコンテンツまだある」】

 「良質のものを提供してお客さんの目を肥やしていきたい」

 こう語るのはスバック(東京都新宿区)の渡辺全助社長(68)。

 同社は昨年12月、500円DVDの新タイトルで日本を代表する漫画家、赤塚不二夫氏(71)原作の『おそ松くん』を発売した。『天才バカボン』とともに赤塚ギャグの代名詞となった同作は1966年に毎日放送系列で同局初のアニメ作品として放送。六つ子のおそ松兄弟はじめ、「シェー」でおなじみの怪紳士、イヤミなど、個性あふれるキャラクターが人気を博し、大ヒットした。

 その後、88年にフジテレビ系列でカラー作品として放送され、03年にはCS放送でもリメーク。今回、500円でよみがえったのは、66年放送のモノクロ・オリジナル版だ。

 「オリジナル版こそ見てほしかった。団塊世代にとっては懐かしい物だし、カラー作品に慣れている下の世代にとってはモノクロ作品に新鮮な驚きがあるはずだ」(渡辺社長)。

 狙いは的中。「1万本出ればヒット」(業界関係者)とされる中、昨年12月の発売以来、3月までに6万5000本を売り上げた。

 ただ、同作は500円作品の主流となっているパブリックドメイン(PD)のように著作権がフリーになっているわけではない。多くの500円DVDがPD化に伴うコストカットで低価格を実現する中、渡辺社長はパブリシティーという金銭的“ハンディ”を抱えたままでの値下げを試みた。

 「(業者にとって)プレス代などの生産コストと並んで問題なのがパブリシティー。まして有名作品ならそれに応じて著作権料も高くなる」(業界関係者)

 当然、国民的人気を博した『おそ松くん』も例外ではなかったが、500円の価格帯実現のため、渡辺社長は、権利を保有する毎日放送と赤塚プロに直談判。

 「どこまで権利保有者に我慢してもらえるか…。ある意味で挑戦だった」という粘り強い交渉の末、ついに双方の合意を取り付けたのだ。

 熱意もさることながら、説得の奏功には渡辺社長の多彩な経歴で培った“仕掛け屋”としての腕もモノを言った。

 渡辺社長はレコード会社大手の日本ビクターを経て、洋画系メジャー、RCA(現・ソニーピクチャーズ)でビデオ事業の立ち上げに参加。音楽から映像まで、さまざまなコンテンツ産業の変遷をつぶさに見てきた。

 その“嗅覚(きゅうかく)”で、すでに65−71年作品、『ザ・ガードマン』(TBS系)や渥美清主演の66−68年作品『泣いてたまるか』(同)など、眠っていた名作ドラマを復活させている。

 渡辺社長は「テレビ局や映画会社には、眠っているコンテンツがまだたくさんある」となおも発掘に余念がない。

 「そのままでは日の目を見ないコンテンツを再び世に出す。いわば“DVDの文庫本”を作りたい。『おそ松くん』発売は、そのための試金石でもある」(同)

 ワンコインでかつての青春に出会う人、新たな発見をする人…。500円DVDが紡ぐ夢はまだ広がり続けている。(安里洋輔)

 =この項、終わり



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