−−未解決!“不連続美人殺人事件”は…−−
難航する捜査の「その後」を追う(1)

東京・漫画家殺人事件−平成12年9月

 「世紀末」は過ぎ去ったが、世間では未だに世紀末を思わせる凄惨な事件が相次いで起き、東京都世田谷区の宮沢みきおさん一家惨殺事件など、未解決のままというケースも多い。その後、あの事件はどうなっているのか。女性が被害者という“不連続殺人事件”の「その後」を追った。

◇  ◇  ◇

 昨年9月29日、漫画家の吉田陽子さん=当時(28)=が他殺体で発見された東京都江東区内の自室マンション。現場となったマンションでは事件以来、警視庁城東署捜査本部の捜査が継続されていたが、「今年に入って部屋の捜査をすべて終えたようで、その直後に吉田さんの両親が部屋を引き払われていきました」(マンション関係者)。

 「すでに新しい人も入っています」(同)といい、騒動を警戒してか、マンション入り口には「報道関係者お断り」の張り紙が…。

 現場マンションの捜査を終えたということは、何らかの捜査の進展が見られたのか。この関係者は、「ある捜査員は、『一から捜査のやり直しだ』と話していました。その後は、警視庁本部の捜査員ではなく、城東署員が定期的にマンションに立ち寄っています」というから、その答えは否なのだろう。

 遺体で発見された当時の吉田さんは、上半身にTシャツを着ていたものの、下半身には何も着けず、半裸状態。首に絞められたような跡が見つかったことから、頚部圧迫による窒息死とされたが、当初は遺体が死後10日以上たって、「強烈な生ゴミのような匂いがするほど」(捜査関係者)遺体の腐乱が進んでいたことから、死因さえ特定できない状況だった。

 捜査本部では「室内に物色された形跡がなく、財布も残されていることから、顔見知りによる犯行の線が強いとみて、交友関係を洗い直していた」。だが、捜査関係者は、「これまでに事件に結びつくような手がかりは得られていない」といい、難航しているのが実情のようだ。

 吉田さんは生前、活動の場をコミックマーケット、いわゆる“コミケ”に求めており、杉崎くうる、吉田夜子などのペンネームで活躍する“売れっ子作家”の1人だった。ホモやレズといった同性愛をテーマにした吉田さんの作品には熱烈なファンも多く、「まずは、コミケ関係者から、吉田さんとの交友関係を洗い直していった」(捜査関係者)のだが、現在のところ、空振りに終わっている。

 こうしたなか、今月上旬には、一部週刊誌が「吉田さんは芸能界御用達のSEXクラブに勤めていた」とのセンセーショナルに伝えたこともあった。同誌によると、このSEXクラブは、トレンディー俳優や人気のお笑い系タレント、スポーツ選手らによる会員制秘密クラブで、渋谷の道玄坂のマンション内にあるという。そこで働く女性や、利用したことのある芸能人たちにまで、捜査の手が及んだ、としている。

 捜査関係者は、この報道について明言はしなかったが、「交友関係はすべてあたっている」と、否定もしなかった。ただ、現場のマンション付近で、今でも目撃情報を呼びかける立て看板を設置しているにもかかわらず、この捜査関係者は、「これまで直接の目撃者がおらず、(解決は)難しい」と、捜査の行き詰まりを示唆する。

 現在は城東署員を中心に地道な捜査活動が続けられており、捜査本部では「何らかの糸口がつかめるまで、地道にやっていくしかない」と話す。

 「何とか、被害者の墓前に『犯人逮捕』を報告したいのだが…」。この言葉にも捜査員の苦悩する表情が浮かんでいた。

(兼松康)


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