−−未解決!“不連続美人殺人事件”は…−−
難航する捜査の「その後」を追う(2)

埼玉・美容師殺人事件−平成12年10月

 昨年10月22日、埼玉県熊谷市内で遺体で発見された美容師の山田潤子さん(同県鴻巣市)=当時(35)。熊谷市内の美容室に勤務していた山田さんは県内の美容技術コンテストで優勝したほか、多数の賞を獲得してきた“カリスマ美容師”として知られていた。捜査当局では、幅広い交友関係などを入念に捜査しているが、解決への糸口は見つかっていない。

 事件発生から間もなく5カ月が経過する。だが、犯人が依然、逮捕されないだけに、関係者の口は一様に重い。山田さんが勤めていた美容院を改めて取材したが、オーナー、同僚とも拒否の姿勢だった。

 常連客の一人は、「店には以前の活気がなく、私も事件のことは話さないように気を付けています。美容師さんたちも犯人扱いされたりしてかなり辛かったようです。山田さんはひいきのお客さんをたくさん持っていたから、売り上げの面でもかなりの打撃を受けたといいます」。

 事件当時、捜査関係者は「後頭部をメッタ打ちにした執拗さや着衣に乱れがないことから、通り魔の可能性は低い」としていたが、現在は「犯人像が絞り込めず、通り魔の可能性も含めて捜査中」という。

 事件は昨年10月22日午前9時過ぎ、JR熊谷駅近くの市道にとめてあった車の中で殺害されている山田さんを近所に住む男性が発見。灰色の「ビスタ」はエンジンがかけっぱなし、ライトもつけっぱなしの状態。山田さんは後部座席で頭から血を流しており、「棒状のもので後頭部を十数カ所メッタ打ち状態だった」(捜査関係者)。

 遺体発見前日、山田さんが仕事を終えて職場を後にしたのが午後10時50分ごろ。500メートルほど離れた駐車場に向かい、「11時過ぎ、『キャー』という叫び声が聞こえたので窓から外を見てみると、黒っぽい車が駐車場から走り去った」(付近の住民)。有力情報は、この悲鳴だけだった。

 地元の県立高校を卒業後、美容師専門学校に進学した山田さんは5年前に父を亡くし、美容師の母と弟との3人暮らし。専門学校卒業後は、殺されるまで働いていた熊谷市内にある老舗名店に就職。常連客でもある近所の主婦は、「この美容室は大会で入賞する美容師さんがいっぱいて、腕も雰囲気も周辺では一番。中でも彼女はとても明るくて接客もよく、パッと目立った存在だった」という。

 私生活では平成2年、友人の通訳役として知り合ったパキスタン人男性と結婚し、2人の男の子をもうけたが、平成10年に離婚。子どもは夫が引き取り、仕事は結婚を機に一度は辞めたが、離婚後に復帰。パキスタン人の前夫は中古車の輸入販売や東京都渋谷区内でインド料理店を経営。2人の子供はパキスタンの実家に預けてあるという。

 「山田起三子」の名で熊谷市内の民間中国語サークルに参加していた山田さん。「中国語や英語、パキスタンのウルドゥ語もしゃべれた。あるとき、『もう、前夫とは会わないし会いたくない。よりを戻す考えは全くない』と話していたことがあった」(サークル会員の男性)

 こうした積極的な性格から交友関係が広かったことも、捜査を難航させている一因とみる関係者も多い。

 さらに、捜査本部が置かれている熊谷署管内では先月26日、熊谷市の隣町・江南町の雑木林で立正大学の中国人女性留学生(30)の絞殺体が見つかり、現在も捜査中だ。山田さん殺害事件も発生後は100人ほどで捜査にあたっていたが、「徐々に縮小せざるを得ない状況で、今は数十人体制」(捜査関係者)。解決はさらに長引きそうな雲行きなのだ。

(久保木善浩)


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