−−デフレ時代の利殖術−−
株名人のマル秘テク(2)

デイトレーダー・長谷川雅一さん(41)

田んぼの中のデイトレーダー

 「日本株のデイトレードで月100万円稼ごう!」

 こんな刺激的なタイトルのメールマガジン(日刊)を出している人がいる。

 岐阜県恵那市。人口3万6000人、夏になればカエルの大合唱が聞こえるのどかな街に、目指すプロのデイトレーダーが住む。

 「たんぼの中の機関投資家」を自称する長谷川雅一さん(41)。

 昨年2月までは学習塾を経営していた。以前、教室だった10畳ほどの部屋を「トレーディングルーム」に改造し、チャート表示用、株価監視用、売買注文用に4台のパソコンを駆使。大型テレビではスカパーの経済専門チャンネル「ブルームバーグテレビジョン」を終日、つけっぱなしだ。

 朝8時半、ディーリングルームに入り、パソコンとテレビの電源を入れ、寄り付き前の気配値をみる。9時、取引が始まると、前夜の銘柄チェックで目をつけていた4銘柄の値動き(5分足などのチャート)を監視し、「ココだッ!」というタイミングで売買へ。「マーケットが開いてから30分たらずで10万円以上、稼ぐことも珍しくない」という。

 長谷川さんは年間1000トレードをこなす。信用取引(現金や有価証券を担保にして、手持ち資金の2倍以上の取引ができる)で1日1500万円、月間3億円の資金を動かしている。万一、予測が外れたら、スピーディな損切りで対応。このため、負けトレードの損失は最大で3000円に抑えているという。

 長谷川さんが、12年間続けた学習塾をたたみ株式投資を始めたのは、塾の経営がうまくいかなくなったことと、「最短時間で儲けることができる株の魅力」にひかれたから。ただし、当初は失敗の連続だった。

 「最初の3カ月、ソニーと伊藤園がズルズル下げていくのを、ただひたすら持ち続け、80万円も損した」。デイトレードは「バクチ的で危険だ」とされているが、長谷川さんの体験では、「仮に損をするにしても、1日の値動きの範囲だけ」に収まるため、むしろ安全な手法だという。

 売買のタイミングはチャートで判断している。

 はじめのころは、几帳面な性格のため、新聞記事などのニュースを集め、銘柄ごとにていねいにファイリングしていた。ところが、ニュースに基づいて売買しても、結果は散々。なにしろ、よい材料が出て「きょうは上がるぞ」と見ていると下落する。かと思えば、何の材料もないのに急騰する。頭の中が「?」でいっぱいになった。

 そんなとき、ネット上で、あるチャーチストに出会った。「この株は、あす上がるよ」「ただし、上がっても○○円まで」などという予測がズバズバ的中するのだ。チャートの不思議に吸い込まれた。実売買をこなしながら毎日、数時間、チャートとにらめっこを続けていくうちに、「だんだん、チャートが語りかけてくるようになった」という。塾を経営する前、歌手、作曲家を目指し、実際、デビュー寸前までいった経歴の長谷川さんだけに、独特の感性があるのかもしれない。

 現在はローソク足のほか、長・短期の移動平均線、乖離率、出来高、RSI(相対力指数)、RCI(順位相関係数)、VR(ボリュームレシオ)、サイコロジカルラインなど15前後の指標を重ねてみている。「(こうした指標が)時に、1か月前からそろそろ上昇するよ、あるいは逆に下降するよ、と教えてくれるんです」。

 最近、「長谷川式投資法ならあなたも株で生活できる」(あっぷる出版)という本も出した。

 ちなみに、デイトレード向きの銘柄は「1万円から1万5000円くらいの株価で、出来高が1日10万株以上あるもの」。昨年なら武富士やアコム、最近ではソニー、ソフトバンクなどに注目している。ただし、「株は怖い。私も必勝法はまだわからず、試行錯誤している。とくにメンタルが悪くなると負けがこむ。市場は妖怪七変化と警戒してほしい」とクギを刺すことも忘れない。

(宇都宮滋一)


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