−−デフレ時代の利殖術−−
株名人のマル秘テク(4)

イーベイジャパン・大河原愛さん(59)

女性起業家の草分け トヨタ、ソニーの輸出関連に注目

 「15歳のときから株を買っています」ー。

 米国インターネットオークション最大手イーベイの日本法人「イーベイジャパン」(東京・千代田区)の大河原愛子社長(59)の株歴はナント、40年以上。「父親が私のために投資して満期になったお金があった。それを資金にして自分で2社の株を買ったところ、業績がものすごく伸び、2年ぐらいでちょっとした金額になった」という。

 日本では15歳で株を始めた人は、まずいないだろう。いや、むしろ「株に手を出すと大やけどするぞ」と戒められた人が多いかもしれない。

 大河原さんはハワイ出身の日系3世で、米国ノースウエスタン大学を経てスイスのジュネーブ大学法学部を卒業したという国際人。来日後、24歳で創業したピザ専業の「ジェーシー・フーズネット」を売上高百億円企業にまで育て上げ、女性起業家の草分けとして知られる。

 「ラスベガスでルーレットをしたり、競馬で馬券を買ったりするのとはわけが違う。日本経済、世界経済を支える会社に投資するのはいいことです。なぜ、株をギャンブルだと思うのでしょうか」

 株式投資を始めると、「経済や会社経営」などに興味を持ち、新聞、雑誌などを丹念に読むようになる。“現実の経済学”の格好の教材でもあるのだ。少し早いかもしれないが、9歳になる甥っ子のために、近く株を買おうとも考えている。「おばちゃま、このゲーム、めちゃくちゃおもしろいよ」と目を輝かせるので、候補にあげているのは任天堂かソニーだという。

 長い投資歴の間には何度か失敗もあった。

 20代のころ、オイルショック前に日本株を相当買い込んでいた。その後、オイルショックで株価が暴落したので、「ガンガン損切り」したところ、「1年後くらいから株価が急回復した」という。

 そこで次の教訓を胸に刻んだ。「いい会社に投資すれば、市場の荒れ方に左右されず、持っていれば報われる可能性が高い」。大河原さんによると、いい会社とは「増収増益を続け、マネジメントに優れ、商品やサービスの開発力のある会社」だ。

 大河原さんは昨年2月、イーベイジャパンの社長にスカウトされ、「(ジェーシー・フーズネットを)創業した三十年前に戻ったような感じでエキサイティングでおもしろい」とはつらつとしている。

 プライベートの投資でも数年前からIT、ハイテク関連に余裕資金をドンドンつぎ込んだ。あまりの急騰ぶりで怖くなり、99年末にいったん、全部売却し、利益をとった。が、IT株は2000年になっても勢いが弱まらない。「もう一度、買い直したところ、そこからドサッと崩れた」と振り返る。

 米国の相場格言に「ブル(牛=強気派)もベア(熊=弱気派)も儲けることができるが、ブタ(欲張り)だけは儲からない」というのがある。

 「ほどほどに…です」と大河原さん。最近は、買った株が10%下がったら損切り、10%上がったら利益確定する、という自主ルールを定め実行しているそうだ。ただ、それとは矛盾するかもしれないが、半値になった株も一部は売らずに持ち続けている。それは、繰り返しになるが、「いい会社は裏切らない」という信念からだ。

 現在のポートフォリオは「米国株が60%以上、日本株が30%程度、ヨーロッパとアジアが少々」。日米とも相場は弱含みで推移している。

 大河原さんは「米国の方が早くリバウンドすると見ている。ブッシュ大統領、グリーンスパンFRB議長のリーダーシップが強いから。日本もゼロ金利などの政策を打ったが、米国企業はリストラの実行などアクションが早く、ダイナミックだ。それだけに市場のリアクションも早い」と予測する。

 リバウンド局面では、売り込まれすぎた優良企業から立ち直るのが常だ。「まず景気循環株から回復すると思われる。たとえば金融株である。ゴールドマンサックスやモルガンスタンレー、または小売業のウォールマートなど。日本株では円安の関係でホンダ、トヨタ、ソニーなど輸出関連株が上がると思う」と話している。

(宇都宮滋一)=この項おわり


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