−−壮絶バトル舞台裏−−
W杯より過熱?!(3)

エレベーター保守業界に独立系が参入

◇メンテ費用の安さで人気

 大手メーカーの牙城といわれたエレベーターの保守管理業界で、価格破壊が起きている。「本体を安く売り、管理で補う」のが業界の基本とされ、メーカーが設置したものを大手系列会社が管理する古い体質が温存されていた。だが、「独立系」会社が安売り攻勢をかけ、大手系vs独立系の戦いが勃発。リストラを進める大企業やマンションの管理組合などで保守管理費を見直す動きが進んでいる。

 「(エレベーターの保守管理は)ほかの業界に比べ利益率がかなりいいのは確か。ウチはメーカー系より(利益率が)下がるが、それでも十分。国の検査があるのだから(仕事)内容は同じ」。独立系「SECエレベーター」(東京)の鈴木孝夫社長は胸を張る。

 エレベーターの保守管理費は、6人乗りで年間60〜70万円が相場。同社は、その4割引程度で請け負う。ここ10年ほどは受注を2割前後ずつ増やし、現在約1万6000台を管理。「来年は3割以上の伸びが期待できる」と話す。

 三菱電機、日立製作所など大手6社が市場をほぼ独占するエレベーター業界は、保守管理業務をそのまま系列会社が請け負う強固な“スクラム”で守られる。独立系の入るスキはなく、保守管理が必要なエレベーター46万台(平成12年度)のうち、独立系シェアは5%程度にすぎない。

◇安く売ってメンテで稼ぐ体質…

 ある建設業関係者は「エレベーターはゼネコンにうまみのある商品。メーカーはゼネコンに安く売り、ゼネコンは施工主に上乗せして売る」と打ち明ける。別の業界関係者は「トントン(で儲かる)価格を割り、1000万円の商品を4、500万円で売ることもある」と証言する。

 その不足分を補うのが「ビルをつぶすまで続く」(関係者)メンテナンス料。月1回、1時間程度の点検と、年1回の国への報告書作成だけにしては確かに安くはない。その価格は「欧州の7倍」と指摘する建設業関係者もいる。

 昨年4月には業界トップの三菱ビルテクノサービスが部品販売を拒否するなどし、独立系会社の取引妨害を行った疑いで、公正取引委員会が立ち入り検査を実施したが、大手はあの手この手で独立系を排除してきた。

 その傾向を変えたのが、ここ数年の不況。「全国の支店に大量のエレベーターをもつ大手スーパーなど、最近は大手企業の問い合わせも増えている」と、SECエレベーター。最近は、マンションの管理組合が管理費の見直しを進める傾向が強く、組合や貸しビル業者からの受注もある。

 一方で、「メーカー系も裏で値を下げ始め、受注が伸び悩んでいる」(独立系)との声もある。「4割、5割というメーカー系の値下げに、今まで払ったお金は何だったのかと怒り出す客もいる」(前出の鈴木社長)

 さらにマンションの場合、「管理会社に委託している管理組合なら、保守管理会社から管理会社にマージンが払われている場合もあるようだ」(同)との情報もある。

 全国のマンション管理組合が加盟する日本住宅管理組合協議会の原直男常務理事は「管理会社に全面委託している組合では、エレベーター管理会社に再委託する形でマージンを取られる。独立系に委託すると修理パーツが入らないなど問題が出ることもあるが、直接契約が望ましい。考えてみては」と話している。

(内藤敦子)


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