−−巨大スタジアム窮状−−
W杯“遺跡”(4)

大分ビッグアイ
神戸ウイングスタジアム

◇セリエAの名門「ラツィオ」との提携に期待

 九州で唯一のW杯の試合会場だった「大分ビッグアイ」(大分市=W杯時は収容4万3000人、その後改修し、3万4000人)。W杯後初の公式戦となった20日の大分トリニータvsアビスパ福岡戦(J2)は、今季最高の2万2300人が詰め掛けた。

 「W杯でサッカーへの関心が高まっている。家族連れが増え、客層の広がりを感じます」  スタジアムを運営する財団法人「大分スポパーク21」の安東忠専務理事は、“W杯効果”をこう強調する。

 同スタジアムは、大分県が総工費251億円をかけて建設。大部分が地方債のため、返済額は年約4億円にのぼる。

 さらに、維持管理費として、年間2億5000万円を県費で補うことが決まっており、ビッグアイ関連だけで、少なくとも20年間は年間6億5000万円の税金が消えていく計算だ。

 「プロスポーツの試合やコンサートを多く入れれば、収入は増える。だが、それでは『アマチュアスポーツの殿堂』を目指す建設目的から離れる」(安東専務理事)

 大分市は26日、1500万円の助成金を予算計上し、5000人以上の入場者が見込める事業を企画する団体を、全国から募集すると発表。

 大分トリニータも同スタジアムでイタリア代表がプレーした縁で、セリエAの名門「ラツィオ」と、指導者交流や親善試合などの提携を模索するなど、ようやく活用策の検討が始まった。

 しかし、九州という立地条件では集客に不安が残るうえ、芝の管理などでスタジアムが利用できるのは年間で、わずか80日。そのため、市民から「負担が大きすぎる」との声も出ている。

 県は「県民の利用が一番。維持管理費は、スポーツ振興事業の必要経費」と主張するが、それに見合うだけの明確なビジョンは示されていないのが現状だ。

◇民活のモデルケースと期待

 一方、全国でも珍しい「公設民営方式」で建設されたのが「神戸ウイングスタジアム」(神戸市)。神鋼と大林組のJV「神戸ウイングスタジアム株式会社」が設計から運営までを担当する。

 スタジアムは今月から“化粧直し”の真っ最中。W杯時(4万2000人)から観客席約8000席を撤去、開閉式屋根を設置、来春には全天候型スタジアムに生まれ変わるが、総工費230億円は同社が負担する。

 神戸市などによると、来年度以降はヴィッセル神戸(J1)の本拠地となり、約20試合が行われるが、それ以外の活用策は年内に決める。同社の森博之事業部長は「ラグビーやアメフト大会、コンサートの誘致などを目指す」と話す。

 この方式は同市が「一つのチャレンジ」として導入。景気低迷で自治体主導の箱物行政に批判が集まるなか、同スタジアムは、民活のモデルケースとなりうるだけに、「初年度から赤字は許されない」(森部長)。年間維持費は約6億円。

 同市建設局は「正直言って、初年度収支はトントンでしょう」と漏らすが、「柔軟な発想で、効果的な活用策を立案してほしい」と、民間パワーに期待を寄せている。

(大西雅彦)=この項おわり


戻る 追跡TOPへ
ZAKZAK