−−痴漢冤罪の恐怖−−
あなたも犯人に…(4)

どうやって、冤罪から身を守るか…

痴漢冤罪の恐怖 ◇検察の言い分うのみにする裁判官

 「一時期、話題に上った時は無罪判決も多かったが、今はその動きがひそやかになっている」

 痴漢冤罪の現状にこんな感想をもらすのは、立教大学法学部の荒木伸怡教授。

 痴漢冤罪被害者がネットワークを結成するなどしている動きにも、「もっともっと全国には同じような苦しみを味わっている人がたくさんいる。でも、名乗り出て来られないのが実情だ」。

 刑事訴訟法を専門とする荒木教授は「警察や検察が聞くのは女性の言い分だけ。(客観的な)証拠は何もない」と厳しく批判する。

◇裁判制度の悪い面が出る

 さらに、日本の裁判制度にも「検察官が有罪の確信を持って起訴したのならば、それを信用していればいい、という前提を持つ裁判官が多く、チェック機能が働いていない」と切って捨てる。

 つまり、「無罪判決を出せば上級審でつっつかれてしまうので、それに対応するような詳しい判決文を出す。有罪の場合はその理由さえ判決に書けばいいのだが、痴漢冤罪の場合、その理由がはっきりしていない」というのだ。

 痴漢冤罪のケースでは、被害者の供述に加えて、「とにかく自白を取って調書を作れば有罪にできる」というのが、多いとされる。

 この点について、荒木教授は「痴漢事件にも状況証拠がたくさんあるはずなのに、聞く耳を持っていない。被害者と加害者の言い分をそれぞれしっかりと聞くべきなのに、見比べただけで『女性が正しい』と判断してしまう。(痴漢裁判は)日本の裁判制度そのものの一番悪い面が出ている」と断じる。

 また、荒木教授は、こうした痴漢事件を裁く裁判官の問題点について、こう指摘する。

 「司法修習時代から、ほとんど満員電車に乗った経験がなく、生活体験が少なすぎる。身動きできない車内の実態など想像もつかないのではないか。そういう人が事実認定しても…。それに、今の職業裁判官たちには、懲役2年程度の痴漢裁判は、大量にある裁判の一部分にすぎない。そんな裁判で否認する被告は素直じゃないという心証をもたれるだけだ」

◇間違われても「行かない」

 では、そうした裁判になる前に、痴漢冤罪で逮捕されない自衛手段はあるのだろうか。

 「両手を挙げるバンザイ通勤だけしていても、問題は済まされない。手が上にあっても、股間が女性に当たって、それを女性の側がイヤと思ってにらまれれば、それでおしまいなのだから」

 実際、「痴漢えん罪被害者ネットワーク」の中には、電車の中で女子大生に携帯電話の使用を注意しただけで、痴漢に仕立て上げられそうになった人物もいる。

 私鉄各社は相次いで痴漢対策として、女性専用車輌を導入している。荒木教授はこうした点に注目し、「男性専用車両を作ってもらうしかない。今のままなら市民生活は危険でしかない」とまで極論するのだ。

 仮に、加害者にされそうになったら、どう対処すればいいのか。

 「痴漢えん罪被害者ネットワーク」の会員の1人は「逃げる方法はない。とにかく鉄道警備隊や駅事務所に同行しないことだ」と断言する。

 「行けば聞いてくれるだろうとか、第三者を交えれば分かってくれるだろうと思うのは甘い。行けば女性の意見しか聞かず、逮捕への手続きが流れていくだけ。礼状がない以上、行く必要がない。走って逃げると犯人と思われるので、行く必要がないことを告げ、絶対にいかないことだ」

 痴漢被害−冤罪がなくらない今、「分かってくれる」といった甘い考えだけはしない方が得策のようだ。

(兼松康)=この項おわり


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