−−写真集今昔物語−−
ヘアからソフトまで(2)

無名ヌード『ちんかめ』のヒット

『ちんかめ』 ◇ヘアなし、シンプルな作りだが…

 莫大な制作費と時間、そして日本を代表する女優を被写体とした松坂慶子(50)の写真集『さくら伝説』。この作品は、ある意味で売れるべくして売れた写真集といえるだろう。

 だが、無名の女性を起用したヌード写真集でも爆発的に売れているものがある。豪華絢爛『さくら伝説』(4700円+税)の対極に位置するのが、『ちんかめ』(撮影・内藤啓介)だ。

 モデルは、いずれも無名の女のコたち。AV界では有名なコもいるが、知名度はゼロに近い。背景のセットに凝ることもなく、一般的なスタジオで撮影されている。

 しかも、どぎついヘア露出や開脚ポーズがあるわけでもない。むしろ、ヘアヌードはほとんどなく、ポーズも実にシンプルだ。

 担当編集者の宝島社出版2局編集局長・高田秀之(41)によると、そもそも『ちんかめ』(1905円+税)は高田が男性ファッション誌『スマート』編集長時代、平成9年からスタートしたグラビア企画だった(現在も連載中)。

◇初めてのヌードがヒット

宝島社出版2局編集局長・高田秀之  「読者層(18歳〜25歳男性)を考えると、ファッション誌でもヌードグラビアがあってもイイと思ったんです。で、カメラマンと話をしていて、オシャレなヌードをつくろう、ということになった。タイトルはカメラマンのあだ名(内藤陳から由来)+カメラの省略形。ゴロもいい」

 ただ、当初の撮影は試行錯誤しながらのスタートだった。

 「実はヌードグラビアを作るのは初めてだったんです。最初はヌードモデルのギャラ相場も知らなかった」

 1回あたりの撮影経費は60万円程度。ヌードグラビアの制作費としては平均的な金額だ。

 「モデルを選ぶ基準は有名でなくていいから顔がかわいくてヌケる感じだけ。巨乳とかスタイルには最初からこだわってませんでした」

 連載が続くなか、12年11月に出された最初の写真集『ちんかめ』は初版1万部のスタート。

 「価格設定にはこだわりました。アイドルの水着写真集とかは2000円以上する。それだと読者層には手が出ないと思ったんです」

 第1弾初版分は即完売。増刷を繰り返し、8万部。さらに、13年に発売された文庫判(752円+税)はコンビニで発売され、55万部の大ヒットになる。これは、大手コンビニの書籍部門で売り上げ実績の歴代1位記録だという。

 発売中の箱入りの『ちんかめBOX』(1905円+税)を含めこのシリーズだけで累計68万部になる。

 出版不況のなか、驚異的な数字だろう。

◇類似本も多数出現したが…

 「ヒットの原因? マーケットはあったのに、商品がなかったからじゃないかな」と高田氏は分析する。

 2匹目どころか、3匹、4匹目のドジョウを狙うのが現在の出版業界。「文庫のヌードだから売れた」と、『ちんかめ』路線を狙った文庫判写真集は他社からも一斉に発売された。

 だが、どこも『ちんかめ』のような売り上げを出していない。

 類似写真集と本家を見比べてみると、ひとつわかることがある。本家の方が圧倒的に露出が少ないのだ。

 「想像力をいかに、かき立てるか。オシャレなんだけど、見てエロく感じること。この空気を大切にしています」



戻る 追跡TOPへ 次へ
ZAKZAK