−−写真集今昔物語−−
ヘアからソフトまで(4)

デフレ時代の写真集の現場

『NOCTURNE』 ◇1冊たったの200万で制作

 松坂慶子の『さくら伝説』や、無名女性らのソフトヌードで話題の『ちんかめ』は好調ながら、その他の写真集は出版不況などから、苦戦を強いられている。写真集の最前線を追ってきた。

 現在、B級アイドルの水着写真集で1冊の制作経費は200万円程度が相場だという。

 この枠内でモデル、カメラマン、ヘアメイク、スタイリストのギャラ、衣装代、交通費を含む滞在費、食事代など撮影からフィルムが仕上がるまでの費用をまかなう。

 「昔はヘアメイクのギャラは1週間拘束されて50万円が相場。今は1日4万円にまで下がった」(某ヘアメイク)

 しかも、1冊だけの撮影では海外ロケが組めないため、3人程度のタレントを同時ブッキングする。つまり、3冊を同時に制作するスケジュールを組むのが当たり前になっているという。

 「場合によってはモデルだけを選定し、あとはカメラマンやプロダクションに制作を丸投げする場合もある。1冊作るのに撮影は3日〜4日。これじゃねぇ」(プロダクションマネジャー)

◇質の低下は必至

 こうしたことから、作品の質は低下するばかり。また、発行部数減による金銭的問題から内容が変わってしまうこともあるのだという。

 「実際の現場ではヘアも含めすべてを撮影してるんだけど、撮影後、事務所サイドから『そんな金額じゃ毛は出せない』という例もたくさんある」(某カメラマン)

 一昔前なら大物タレントのヘアヌードともなれば初版で5万〜10万部が可能だった。カメラマンとタレントの力関係により、定価10%分の印税比率は変化するが、1回脱げば最低でも1000万円以上のギャラがタレント側にも入った。

 だが、発行部数が激減したことで、ギャラもかなり減ってしまった。

 「ヘアヌードバブルの時期からタレント側は写真集の内容や作品性なんて考えなくなった。とにかく金さえ入ればイイ。芸能界も大手プロダクション以外は、どこも経営的にかなり苦しいのが現状」(某カメラマン)

◇“お宝写真”が人気

お宝写真集  出版不況という背景もあるが、業界全体で首を締め合っている感じもする。初版部数を減らすことは、出版社側の危険回避でもあるのだろう。

 だが、結果、今後、大いに活況を呈しそうな分野もある。“お宝写真集”の世界だ。

 アイドルのお宝クッズを数多く扱う東京・神保町の荒魂書店の代表、稲山雄二は話す。

 「うちらの業界にもバブルがありました。でも2年前頃から安定し、今は本来の姿に戻って安定している感じ。市場に出まわるが、タマ数が少ないことで将来的にお宝になる可能性がある作品もあるでしょう」

 現在、最もプレミアがついている写真集は、ZARDの坂井和泉が無名だった蒲池幸子時代に出した『NOCTURNE』で17万円也。

 また、水着アイドル時代の浜崎あゆみ(24)の写真集『Terimakashi』も定価2300円が2万7000円になっている。

 無名時代の写真集が本人がブレークすることでプレミア本となる。

 「部数は減ったけど数は出てますよね。これはうちらの業界にとってはありがたいこと。でも、プレミア写真集になるには内容が良いことも条件なんです」

 だが、制作費を削ったことで内容が極端に薄くなっている現在の作品に、未来のお宝はあるのだろうか。

(しま・はるよし)=敬称略、この項おわり


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