−−プチ整形最新事情−−
妻、母、娘が突然…(1)

70歳、サッチーまでが整形する時代

野村沙知代さん
プチどころか、もっとやっているような気もするが…
◇クリニックは、“お年寄り”ばかり

 頬に糸を埋め込み、皮膚を持ち上げる「ロシアン・リフト」、鼻の下のシワを削る「レーザーピール」で、しめて110万円−。

 野村克也・阪神元監督夫人で、元タレントの野村沙知代さん(70)が先月末、美容整形をしたことをテレビのバラエティー番組で告白した。

 サッチーといえば、シワを消すコラーゲン注射の愛用者として有名。“整形美人”となった姿は見せなかったものの、取材に「満足しています」と答えている。

 「いい年をして何を今さら」などと言ってはいけない。

 東京・赤坂の某美容外科クリニック。午後の診察開始前、ピンクを基調にした待合室には、10人ほどの女性が診察を待っていた。

 どの顔にも、相応のシワが刻まれている。白いシャツ、黒いパンツにルイ・ヴィトンのバッグを抱え、50代前後だろうか。赤い口紅、ハッキリした目元…。整形といえば浮かぶ「地味な顔の若い女性」の姿はない。

 「中年以上の患者が爆発的に増えている。ほとんどお年寄りばかりですよ」。全国8カ所にチェーン展開、年間の患者数は「5万人」というこのクリニックの院長は苦笑し、こうも話した。

 「中年男性も多い。全体の3割くらい」

◇東大病院でも「美容外科」の時代

 東京・本郷の東大病院は4年前、「社会的変化で多くの人が美容外科の治療を受けるようになった」と、国立病院としては初めて形成外科に美容外科の看板を掲げた。

 吉村浩太郎・同大医学部形成外科講師は「年間の初診の患者さんは2000人。ウチの病院では皮膚科、耳鼻科と同じくらい多い」と話す。

 9割は40〜60代の女性。圧倒的に多い悩みはシミ、シワ、タルミだ。

 「(患者は)ごく普通のおばさんです。73歳の人も来ました」

 「孫から『おばあちゃんの顔、汚い』といわれた」。女性たちはそんな素朴な悩みを漏らし、「10年若返ったわ」と喜々として診察室を出る。

 究極の「美容」はもはや、匿名でもない。

 先月末発売の女性誌上で、自称「奥菜恵23歳」となった姿を披露したのは、作家の中村うさぎさんだ。

 44歳のうさぎさんは、ボツリヌス菌でシワを伸ばすボトックスなどを顔面12カ所に注射。メスを使わない“プチ整形”で鼻を高くし、アゴをとがらせ、3カ月でアイドル顔を実現させた。

 30代の女性をターゲットとした女性誌の美容特集のキーワードは「アンチ・エイジング」。美容外科の治療が、高級化粧品と同列で登場。美容ライターが素顔をさらし、治療結果を報告する。

 あの作家の林真理子さん(48)まで、雑誌のコラムで「3万1000円」の「注射」を受けたことを告白している。

 東京警察病院形成外科部長の大森喜太郎氏は「美容外科では昔、かなり特殊な人が手術を受け、特殊な医者が手を出していた。それが変わりつつある」という。

× × ×

 「大物演歌歌手Mはシワ伸ばしをしている」「人気アイドル女性歌手Sの目は整形だ」。噂がひそかにささやかれた時代は過ぎた。MやSは、あなたの同僚や妻、母、娘かもしれない。美容整形の最前線を追った。

(内藤敦子)


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