−−キャンパスは今−−
大学が危ない!(1)

大学の「倒産時代」…立志館大学の場合

一度の卒業生も出さないまま消える立志館大学。HPトップページのみで中身はほとんどない…
一度の卒業生も出さないまま消える立志館大学。HPトップページのみで中身はほとんどない…
◇一度も卒業生が出ないまま

 「必死に頑張ってきたが、もうどうしようもない。非難誹謗はすごいが、学生のためを思い、こういう方法をとるしかなかった」

 開学わずか3年、一度も卒業生を出さないまま、年明け早々、閉校が決まった私立「立志館大学」(広島県坂町)。同大を経営する広島女子商学園の進藤育明理事長は肩を落とす。

 同学園は広島市内で広島女子商業高校を運営し、最盛期には1800人の生徒数を誇った市内でも有数のマンモス校。潤沢な資金を持つ健全経営でも知られていた。

 平成元年、現在の坂町に移転。同時に「広島女子商短期大学」を開学、「5カ年教育でスペシャリスト養成」を掲げ、順調に経営していたが、「徐々に生徒数は減ってきた」(進藤理事長)。

 その後、「当時の経営陣が女子商の生徒にアンケートしたところ、就職難などから『4年制大学に進みたい』という生徒が40人ほどになったため、『これならいける』と判断」。12年、短大を4年生の「広島安芸女子大学」に移行した。

◇定員195人に入学32人

 ところが、生徒が集まらなかった。経営学部のみの単科大学だが、定員195人に、わずか32人が入学しただけ。学生が定員の半数にも満たないため、国の私学助成金も受けられなかった。

 「少子化で広島市内などにあった他大学にも入りやすい状況となり、生徒が流れた」(同)

 この時点で、メーンバンクからは閉校を勧められていた。

 それでも、理事会は存続を決定したが、2年目の7月で学園の拠出金は累計10億円に達し、「運転資金が尽きた」。当時の経営陣は学園の土地を担保に融資を受けるつもりでいたが、不況のさなか、それも不可能。

 そして、文部科学省などを通じ、福島県の学校法人の支援受け入れを決定。その経営陣を理事長に迎え、現在の名前で再出発していた。

 昨年は120人近い学生が集まり、表向き復興の兆しもあったが、「実際は、留学生や特待生の学費免除や半額などで、授業料換算では70人弱の学生がいたに過ぎなかった」と進藤理事長。

 しかも、賃金カットを断行した学校法人と女子商学園との間に不信感が生じ、学校法人が女子商学園を保証者に根抵当をつけ、銀行に2億5000万円の融資を受けたにもかかわらず、「大学経営に一銭も投入しなかった」(進藤理事長)。

 結局、女子商学園側が背任・横領で、同学校法人の理事長を訴えるなど、泥沼に発展した。

◇前経営陣がむちゃくちゃやった

 こうした流れのなか、高校の運転資金をまわすなどして存続を模索した女子商学園は昨年11月、教員全員が理事に入るなどし、支援者・融資先を探したが、約5億円の負債を抱え、今回の倒産劇となった。

 進藤理事長は「174人の学生を呉大学に受け入れてもらう」ことを決定。キャンパスはそのままで、呉大学から教員が通うことになる。

 一介の教師に過ぎなかった進藤理事長は前経営陣が退任後、「誰も矢面に立てない状況だったが、引き受けた」とし、「前経営陣は2年間で10億円を使い、職員の退職給与引当金も引き出すなど金の使い方がむちゃくちゃ。責任を追及したい」と話している。

×  ×  ×

 少子化や不況が加速するなか、定員割れの大学が続出し、経営難から倒産に追い込まれるケースも出てきた。学部を閉鎖する大学のほか、中国人の留学生問題で揺れた山形県の酒田短大は倒産に追い込まれている。厳しい環境にある大学の最新ウラ事情を追った。

(兼松康)


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