−−ふざけるな−−
雇用・能力開発機構の闇(1)

スパウザ小田原−損失は446億円

豪華な施設が売りだが…スパウザ小田原
豪華な施設が売りだが…スパウザ小田原
◇豪華だが、格安とはいえない…

 厚生労働省の特殊法人「雇用・能力開発機構」(横浜市)が、雇用保険料から約4498億円もの巨費をぶち込んで建設した全国2070カ所の保養施設などを、1050円、1万500円といった二束三文で次々に売却中だ。昨年の失業率が過去最悪になる中での許し難い暴挙…。特殊法人の深い闇を追った。

 機構側が神奈川県小田原市に、8億数千万円での買い取りを要請している「スパウザ小田原」は建設費455億円と最大の物件だ。売却で生じる損失約446億円は、実に約5万人分の失業保険に相当する。

 「あそこはいいですよ。設備はいいし、料金もそう高くない」とは、50代の自営業者。

 実際、その豪華さは相当なもので、相模湾を見下ろす丘の上にある敷地は、東京ドーム5つ分の約24万平方メートル。地上12階地下1階の本館とコテージがあり、客室数は167室。天然温泉のスパ、ボウリング場、テニスコートなどが併設されたリゾート施設なのだ。

 もっとも、料金が安いかはかなり疑問。宿泊料は平日にスタンダードツイン(1泊2食付き)で、1人1万5000円(休前日は3000円増)。広い部屋やコテージを4人で使った場合、平日で6万2000円、休日前は7万4000円。

 こんな立派な設備を作っておきながら、その収支は赤字続きだ。

 平成13年度の売り上げは約26億円。見かけ上は250万円の黒字だが、機構から運営を委託された「勤労者リフレッシュ事業振興財団」が約2億円の委託費を受け、実質は約2億円の赤字。平成10年のオープンから、累計で国から約9億円の補填を受けている。

 経営状態も悪いうえ、特殊法人改革で、機構が所有する保養施設は譲渡か廃止されることが決定。ようやく、スパウザ側も経費削減や若干の営業活動も始めたという。

 結果、昨年12月の宿泊定員稼働率が85.2%に上昇。同様な民間施設の平均が70%前後だから、かなりの人気で、「今年度は最終的に国の補填なしで黒字になる」(小田原市役所の担当者)。

 ところが、この数字にも裏がある。スパウザには、民間で家賃にあたる料金や償却費に相当する負担がないのだ。

 現在、施設を買い取る方向で検討している小田原市は、運営を委託する民間企業を公募中。入札には、年間4億3000万円以上の“家賃”を収め、市民の健康を増進するといった運営の企画案を出す条件がある。

 それでも、30社以上が入札要項を受け取り、「全国的に有名な会社もあります。市で民間のコンサルタントに依頼し、経営状態を分析したが、採算がとれるとの評価が出ています」(同)。

◇ホントに失業者対策?

 スパウザとは、温泉のスパと楽譜の休符を意味するパウザを組み合わせた造語で、勤労者が長期滞在し、リフレッシュする場所を意味しているという。

 そんなスパウザを、失業者や失業の危機に脅える勤労者が利用しているのか。誰が考えても、利用者の大半は失業の心配がない人たちだろう。

 さらに、大きな問題は民間で普通に経営すれば黒字化も容易とみられる施設で、誰が赤字を垂れ流してきたのかだ。

 機構の理事長や役員の大半は厚生労働省(旧労働省)の天下り。スパウザの運営を委託された財団の理事長も、元事務次官で機構の元理事長だった。失業者の生き血でリフレッシュしているのは、天下り役人なのだ。

(伊藤猛)


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