−−ふざけるな−−
雇用・能力開発機構の闇(2)

中野サンプラザ−50億円超お買い得…

高給従業員はどうするか…中野サンプラザ(HPより)
高給従業員はどうするか…中野サンプラザ(HPより)
◇中野のシンボル

 JR中野駅から徒歩1分の「中野サンプラザ」(東京都中野区)。正式名称が「全国勤労青少年会館」というのは、あまり知られていない。

 アイドルから演歌歌手まで、多数のコンサートが行われる超有名施設。所有する雇用・能力開発機構は、地元の中野区に50億円での売却を持ちかけているが、高給で人数の多い職員の雇用問題がネックとなり、交渉は難航している。

 交渉の窓口となっている中野区企画課の担当者は「若者から年配者まで多くの人が集まる地元のシンボル的存在。将来の街づくりの核になるため、ぜひ、区で所有したい」と話す。

 中野サンプラザは昭和48年、雇用促進事業団(同機構の前身)が約102億円で建設。地上21階地下2階の建物には、2222席の大ホールやホテル、図書館、結婚式場などがあり、年間200万人超が利用する。

 駅前の超一等地にあるため、約1ヘクタールの土地の評価額だけで約140億円。建物+土地で約242億円が、50億円ならお買い得ではある。

◇「条件」がネックに

 だが、機構側は売却に際し、(1)10年間は現施設のまま使用(2)143人の職員を常勤で継続雇用−などの条件を出した。

 これに、中野区の考えは、「国が行革の一環で手放す以上、取得後は徹底的にスリム化を図る必要がある。職員全員の雇用を区で保障するわけにはいかない」。

 両者の考えはすれ違い、1月中をめどとしていた交渉は、3月以降にずれ込みそうな気配だ。

◇サンプラザ職員の年収は800万円!

 中野サンプラザ職員の平均年収は約800万円で、「民間の同様施設と比べると3割程度高く、人数も多い」(業界関係者)。営業収支は約2億円〜約3億5000万円の赤字が続き、毎年国から約4億円の補てんを受けている。区関係者は「実態を知れば知るほど無駄が多い」と切り捨てる。

 超格安物件ながら、財政難の中野区にとって、そんな約50億円の施設は大きな買い物だ。第三セクターを作り、金融機関から借金して買い取ることを想定しているが、「早く返済したい。そのためには、職員の削減や運営改善は不可欠」と断言する。

 区では適正な経営体制として、「従業員数109人、平均給与約680万円」と試算。さらに、「従業員83人なら10年間で10億円以上の負債削減が可能」と、より突っ込んだリストラも視野に入れている。経営合理化のため、ホールやホテルなどの運営は民間に委託する方針だ。

 「委託先の会社が採用試験を行い、必要な人数や給与水準を決めることになる。当然、全員採用というわけにはいかないだろう」(区企画課)

◇中野は、ましなケース

 同機構は「職員の雇用確保は譲れない」と強調。区との間で交渉がまとまらなかった場合、「民間への売却や、更地にして土地のみを売却する可能性もある」という。

 同区は「他者の手に渡ることは避けたい」(企画課)として、今後の交渉で同機構側から譲歩を引き出したい考えだ。

 もっとも、中野サンプラザの場合、まだ買い手が意欲を持っているマシなケースだろう。

 「名古屋サンプラザ」(名古屋市)に至っては、建設費40億円の施設を105万円で叩き売ろうとしたが、交渉先の名古屋市からは「経営する必要が見いだせない」と断られてしまった。民間への売却を模索するが、決まらなかった場合、「解体」の運命にある。

 さらに、札幌や仙台、広島の各サンプラザ(建設総額約143億円)も、交渉は遅々として進んでいない。

 全国の勤労青少年も怒るしかないないのだ。

(竹岡伸晃)


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