−−本屋が危ない!−−
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万引き倒産も…
 銀行強盗も真っ青な万引きもあるという… |
◇スタンガン使う高校生
《穏やかな音楽の流れる店内に、警報の音が鳴り響いた。店長がボストンバッグを持った男の後を追い、呼び止める。振り向きざま、男の右手からスタンガンの青白い電流が走り、店長は一瞬、腰から崩れ落ちた…》
貴金属店や銀行の強盗シーンではない。書店で万引をした高校生の逃走シーンの再現だ。店長は、顔などに全治10日間のけがを負いながら、高校生を取り押さえた。
バッグにはマンガ本11冊(6251円相当=重さスイカ1個分)、スタンガンのほかナイフも入っていた。容疑は「強盗致傷罪」(無期懲役〜懲役7年)だった。
今月8日には、三浦和義元会社社長(55)が都内の書店で雑誌を万引したとして逮捕されたが、近年、書籍を狙った万引が急増し、より悪質化の傾向にあるという。
業界の窮状を見かねた経済産業省が昨年夏に行った『書店における万引に関するアンケート結果』によると、8割以上の書店が「この数年で万引が増えた」と回答。日本書店商業組合連合会の一昨年度の調査でも、年間約500店の書店が廃業に追い込まれた実態も明かされ、なかには「万引倒産」したケースも少なくないとされる。
◇棚ごとゴッソリ…
235店舗を展開する書店チェーンとしては最大手の文教堂書店(川崎市)。沼尻浩造専務のもとには、主要店舗から月30件前後の万引被害リポートが届いている。
「これは氷山の一角。万引被害は売上高の約1%で、4億〜5億円にのぼる。近年、組織的で大規模になってきたため、データに注目し始めたが、被害額は年々増加している」
同書店では、ガードマンを雇ったり、防犯ビデオを設置するなどしているが、「小さい書店では万引被害自体が経営を厳しく圧迫するため、こうした対策は難しいだろう」(沼尻氏)。
同書店の防犯カメラは、こんな万引の現場も捕らえていた。
《少年7人が入店し、1人がコミックコーナーへ。4人が店員の視界をさえぎるように雑誌コーナーに立ち、また1人は店員に尋ねごとをして注意をそらす。その間、コミックコーナーの1人は人気マンガ全巻を棚からごっそりとカバンに入れ、そのカバンを仲間にリレー…》
福岡県の別の書店からは、棚1段60冊を盗まれたケースもある。
なぜ、こうも悪質化しているのか。
◇新古書店の拡大が背景
沼尻氏は、背景に大規模古書店チェーン、いわゆる新古書店の拡大があると指摘する。「人気マンガのタイトルと買い取り価格を明記した『高価買取広告』を店頭に出し、全巻セットだと高く買い取る」というのだ。
日書連が平成12年に行った調査でも万引被害と新古書店との関係を指摘。先の経産省の調査でも、動機で「自分で読むため」(50%)に次ぐ2位に「換金目的」(14%)が入っているが、沼尻氏は「『自分で読む』と話したケースも買取対象であったことは多く、動機の供述は信用できない」と厳しい見方だ。
「教育とか、モラルの問題なんでしょう。万引は窃盗という犯罪なんです。しかも、その目的が携帯料金やゲーム代のカネ目当てだなんて…」
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デフレ経済の波に乗った新古書店が隆盛を極める一方で、ITなどの波に飲まれ厳しい経営を余儀なくされている新刊書店。かつては地域文化の発信地としての役割を担った「街の本屋さん」が今、直面する深刻な危機をリポートする。
(櫃間訓)
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