−−12歳の闇−−
〜駿ちゃん事件を追う!〜(2)

町沢静夫さん編

町沢静夫さん
町沢静夫さん
◇母親がゆがめた人格

 駿ちゃん事件で、補導された少年(12)の父親は物静かで温和ながら、母親は過保護で少年を溺愛し、幼稚園では抗議を繰り返し、他の母親とも溶け込めない非社交的な性格との証言がある。家庭環境が、子供の人格形成に与える影響は大きいとされる。こうした環境が少年心理にどのように作用したのか。

 「キレやすいという母親からの遺伝的な部分と、母親にゆがめられた部分との2つが混合した性格が見られる」

 平成12年5月の西鉄バスジャック事件で、逮捕された少年の母親から発生直前に相談を受けた精神科医で「町沢メンタル・ヘルス研究所」の町沢静夫所長(思春期・青年期精神医学)は話す。

 母親に過保護に育てられたことで、少年は「自分の意思が明確に形成できない」状態になったと指摘。

 さらに、同年齢にはなじめず、年下の子供とばかり遊んでいたことからは、「抑制された性格が読み取れる」といい、「自分の欲求をかなえられないと、人に対しキレやすく、感情を爆発させてしまう」と分析する。

 これを裏付けるように、少年は小学校時代、気に入らないことを言われると突然、泣いたり、怒り出すなどパニック状態になったという。

 母親と正反対といわれる父親の性格は、どのような影響を与えのか。

 「父親が温和なことは必ずしも中和剤にはならない。むしろ、言うべきことをきちんと言って、母親を制止できるような性格でないと、母親の悪影響だけが残る」

 抑圧された性格から引き出されたのが、同性の幼児へのゆがんだ性的関心だったのか。

 「少年の一番の問題は小児愛と同性愛。先天的なものもあるかもしれないが、同年齢の子供が怖くて、性の対象が同性の子供に向かってしまったのではないか」

 さらに、「同年代の子供と接していれば、性の知識は普通に入ってきて安全なはず。インターネットやコミックなどによって性の知識がかなり偏ってしまった可能性がある」と話す。

 こうした少年の性格が暴発したきっかけは何だったのか。

 専業主婦だった母親は今年4月からパートに出るようになった。毎夕、少年が母親の帰りをマンションのエレベーターホールで待つ姿を多くの住人が目撃している。時期を同じくして、自宅周辺では幼児を狙った事件が相次いだ。

 「さびしさが少年を年下の幼児との“遊び”に向かわせた。幼児は自分の思い通りになる。母親と同じように自由にしたい、という思いがあるのではないか」

 今後の少年の更正ポイントについて、町沢氏は同性の同年齢の子供と親しい関係が築けるかにかかっているという。

 「きちんと自己主張ができるように成長を促してやる必要がある。それには集団療法。遊びやスポーツを通じ、対人関係を築いていく。スポーツがいいだろう」

 ただ、それには時間がかかる。時間をかけてやる必要があり、最低で1年はかかるとされる。

 ネットやテレビゲームで、子供たちの結び付きを「個」ごとにバラバラにしてしまう状況は、この少年に限ったことではない。それだけに、今回の事件は深刻なのだ。

(梶川浩伸)


戻る 追跡TOPへ 次へ
ZAKZAK