−−12歳の闇−−
〜駿ちゃん事件を追う!〜(3)
大谷昭宏氏編
 大谷昭宏氏編 |
◇性に対する未熟さが問題
中学1年の男子生徒(12)が補導された長崎市の種元駿ちゃん(4)誘拐殺人事件。全裸にしたうえ、生きたまま立体駐車場の屋上から突き落とす残忍な手口から、平成9年に神戸市で起きた児童連続殺傷事件同様の衝撃を社会に与えた。ジャーナリストの大谷昭宏氏(58)は「衝撃度では神戸事件のほうが大きいが、社会に投げかけた問題では、今回の事件のほうが大きい」と話す。
関係者によると、男子生徒は1学期の期末テストが5教科で500点満点中、465点と学力はトップクラスだった。
しかし、同級生らとコミュニケーションを取ることは苦手で、遊び相手は年下の男児ばかりだった。事件の前にも男児に対し、複数のわいせつ事件を起こしていたとされる。現地取材を済ませた大谷氏は「男子生徒の性に対する未熟さに問題があった」と指摘する。
「神戸事件の少年は、動機として『僕の中で悪魔が暴れている』と供述していたが、悪魔の正体は芽生え始めた性にほかならない。成長期にある不安定な男の子が誰しも持つ『モヤモヤとしたもの』の正体を、きちんと教える性教育を家庭や学校が行うべきだった」
実際、学校現場で行われている性教育は、避妊具や性器の役割を教えるだけの「性行為教育」という側面が強い。
だが、それでは、成長期の男子に、正しい性の知識を教えているとはいえないという。家庭ではどうだったのか。
男子生徒は、教育熱心な父親と母親の3人家族。特に、母親は過保護で、一人息子の男子生徒を溺愛していた。そんな母親が4月から、勤めに出始めてから、生徒は心のバランスが大きく崩れたのか、小さな子供たちにいたずらを繰り返していたとされる。
「母親支配の強い家庭では、思春期を迎えた男の子の性を理解することができずにいることが多い。父親が男女の性差や愛情など性の素晴らしさを教えるべきだった」
男子生徒は、刑法や少年法で刑事手続きできない14歳未満のため、少年審判を経て児童支援施設に送られる可能性が高い。このため、罰則強化のため、刑法や少年法改正の議論も起きているが、大谷氏は、14歳未満では医療少年院に送致できないなど、少年院法に問題があると訴える。
「この前までランドセルをしょっていた子供に刑事罰を科すのは酷。法律を変えたところで触法少年が減るわけではない。だからといって、性的サティズムを持つ子供を支援施設で、他の子供たちと共同生活させるのは非常に危険。それならば、医療少年院へ入所させる適用年齢を引き下げるほうが、より現実的な対処法だ」
事件の舞台となった長崎市では、男児に対する強制わいせつ事件のほか、子犬が屋上から落とされるなどの事件が相次いでいた。大谷氏は最後に地域社会が前兆を見落としていたとして、こう警告する。
「今回の事件は現在の教育、法律、社会更生の3システムのありようが問われている。これらを地域社会ぐるみで再構築しなければ、今後も同様の事件が続く」
(田中健太郎)
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