−−知られざる業界を追え−−
〜「お宝」食玩ビジネス最前線(3)〜

レンタルショーケース

◇個人で効率良く“ダブり”処理

 いくら買っても欲しいモノがなかなか出ないのが食玩の泣きどころ。30代の食玩コレクターは「メーカーは意図的に種類を均等に配分していない。通常の種類ですら大人買い(箱単位のまとめ買い)しても出ないことがある」と憤る。

 食玩を集めようとすればするほどたまってしまうのが、“ダブった”食玩だ。処理方法について前出のコレクターは「食玩を扱うショップに売るとすずめの涙ほどで買いたたかれる。インターネット上のオークションでも珍しいモノでない限り、ほとんど買い手がつかない。単価が安い食玩で送料がかかれば、結果的に高くついてしまう」と嘆き節だ。

 そんな中、食玩コレクター以外にもさまざまなマニアが集う東京・秋葉原や中野で、ダブった食玩を個人単位で売却できる「レンタルショーケース」なるビジネスが登場。食玩ブームに乗って人気爆発、大増殖している。

 中野ブロードウェイの一角で、約30年前から女の子向けのキャラクター商品を中心に販売していた玩具店「ヴァンヴェール」もレンタルショーケースを平成13年6月に導入した。

 ショーケースの区画(高さ30センチ、奥行き40センチ、幅60センチ)を、場所によって月5500−7000円と“家賃”に差をつけ、出店者にレンタルしている。

 出店者はスペースの中で自由に商品を陳列するだけで、実際の販売や売り上げの計算などは店に委託できる。その手数料として店側は売り上げの15%を手数料として受け取るシステムだ。

 夫婦2人で店を切り盛りする同店の石塚徳子さんは「最初は食玩だけじゃなく、手芸の作品など何でも置けるスペースになればと思い、設置した。ただやはり、食玩などのフィギュアがほとんどになった。今は区画も増えて、ショーケースの収入が主となり、目立つ2段目や3段目の区画は3カ月から半年待ちになります」とホクホク顔。

 「出店者も、多い方では月に10万円以上の売り上げがあります。開業当初からずっと入っている人も少なからずいる」(石塚さん)という。趣味と実益を兼ねたサイドビジネスで成功しているコレクターも多いようだ。

 ブロードウェイ内では同店が2番目だったというレンタルショーケース業だが、現在では10店舗以上が同じようなシステムで開業し、食玩だらけとなってしまった。

 中野在住で食玩コレクターでもある記者(26)も実験を兼ね、あるショーケース店の一区画を1カ月5500円で借り、昨年12月中旬から“出店”を開始した。  「チョコエッグ・戦闘機シリーズ」や「レスキュー119」の消防車など、押し入れで眠っていた“ダブり”食玩は優に100個以上。日ごろは「こんなゴミ、そのうち捨てるよ」と妻(25)にも呆れられている。

 すべて売り払うつもりで1品100−300円と平均的な市場価格より2−5割随分安い“投売り”で価格を決め品物を並べた。スケールは小さいが、一国一城の主になった気分…。

 それから2週間後の今月4日、店へ足を運ぶとぎっしりあったショーケースの品物は一気に減って歯抜け状態に。「いやー、よく売れましたよ」と店員が売り上げを集計すると、「2週間で7800円です」。

 やはり食玩はゴミではなく、財産なのであった。

(鎌田剛)


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