マイナンバーカードは悪用されるのか?−−立案に関わった弁護士を直撃

2016.03.31

 今年の1月から利用が開始されたマイナンバー制度。始まったばかりとあり、まだまだ分からないことも多いが、「教えて!goo」には「マイナンバーのカードを失くしました」という質問が。

 これに対しては、「市役所等に出向いて、その旨を説明し再発行しかないと思いますが……。あとで出てきたときの対応もその時に確認しておきましょう」(ノムリンさん)、「再発行した方が良いでしょうね。紛失は自己責任ですので有料になりますが、財布を拾った人が悪用しないとも限りませんのでセキュリティ上再発行した方が良いでしょう」(Epsilon03さん)などの回答が寄せられたが、紛失した本人は冷や汗ものだろう。

 そこで、マイナンバーカードを紛失した場合、他人に悪用されることはあるのか専門家に聞いてみることにした。

 ■カードの扱いには細心の注意を

 お話を伺ったのは、マイナンバー制度の立案やマイナンバー法案作成を担当した水町雅子弁護士。

 「1つめは、身分証明書の悪用です。悪意のある人間の手に渡ってしまうと、顔写真を偽造されたりして、なりすまされるリスクがあります。もっともこれは、マイナンバーカードに限らず、運転免許証や健康保険証など、身分証明書全般について考えられる悪用です。2つめは、カード機能の悪用です。コンビニ等で住民票の写しを取られたり、マイナポータルにログインされる恐れも考えられます。しかし、これらの行為はカードだけではできず、パスワードが必要です。推測しやすいパスワードは絶対にやめましょう」(水町弁護士)

 マイナポータルとは、行政機関が自分の個人情報をいつ、どのように扱ったかという記録などをインターネット上で確認できるシステムのこと。2017年1月から、マイナンバーカードのICチップに搭載される公的個人認証を用いたログイン方法により利用開始する予定だ。

 マイナンバーカードだからといって特別に警戒するのではなく、他のカードと同様に慎重に扱う必要があると言えそうだ。

 ■番号だけでも悪用されるリスクはある?

 では、マイナンバーを他人に知られた場合、それだけで悪用される可能性はあるのだろうか。

 「マイナンバーを他人に知られても、それだけで悪用される可能性は低いです。マイナンバーから情報を盗むためには、マイナンバーとともに個人情報が集まっている場所に行く必要があるからです。そのような場所として、(1)官公署や企業のITシステム、(2)インターネットなどが考えられます」(水町弁護士)

 マイナンバーカードの取り扱いには注意が必要だが、単純に12桁の番号が外部に漏れただけで個人情報が芋づる式に分かってしまうということは無い。

 では、マイナンバーを知られた上、悪意を持って(1)と(2)を利用された場合はどうなのだろうか。詳しく聞いてみた。

 「ITシステムについて言うと、無関係の者がサイバー攻撃を行うための不正侵入手段としては、マイナンバーはほとんど役立ちませんし、関係者であれば、マイナンバーを基にしなくても、元々氏名などから個人情報を盗み見ることはできなくありません。インターネット上で、マイナンバーを基にしたブラックリスト、裏名簿が公開される恐れも考えられなくはありませんが、これは違法行為です。監視・監督を行う官公署(内閣府の外局の個人情報保護委員会)も設立されたので、可能性は低いと考えられます」(水町弁護士)

 個人情報保護委員会は、インターネットなどで自分のマイナンバーを公表することに対して注意を促している。現時点では、マイナンバーの漏えいによって犯罪に巻き込まれるリスクは低いというのが専門家の回答だが、不用意に他人に自分のマイナンバーを教えることは絶対に避けよう。

 ●専門家プロフィール:水町 雅子(みずまち まさこ)

 内閣官房にて、マイナンバー制度の立案、マイナンバー法案作成を担当。弁護士登録前にシンクタンクでSE、ITコンサル等を経た経験から、マイナンバー、個人情報以外にも、情報システム開発紛争等をはじめとするIT法を専門とする。企業法務、行政法務全般も扱う。

 (酒井理恵)

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