皆さんは思いっきり泣いた後、ぐっすり眠ってしまった、という経験がないだろうか。いい大人だからそんなことはないという人もいるかもしれないが、筆者は若かりし頃、失恋して泣いて気づいたら眠ってしまい朝だった、という経験が結構ある。たくさん泣くことと眠くなることに何か関係があるのだろうか。長岡内科医院院長の鈴木飛鳥先生に話を聞いた。
■泣くとき、体はこのように変化している
まず、泣いているときや泣いた後、体の中では何が起こっているのか聞いた。
「まず赤ちゃんが泣く目的は、何かの不快感に気づいてもらうためです。ですから、食事やおむつ交換などの要求が満たされれば、不快感が取り除かれリラックス状態になるので眠くなると考えられます」(鈴木先生)
不快感がなくなってリラックスしたら、大人でもぐっすり寝られそうだがどうだろう。
「大人の涙は、感情の高まりによって誘発されますが、泣くことで自律神経が交感神経優位から副交感神経優位になります。そのため、気分がリラックスして眠りやすい状態になるといえます」(鈴木先生)
涙を流しぐっすり眠れば気分もスッキリしそうである。泣かなくてもこのような良いサイクルを生み出すことはできるのだろうか?
■泣くことで強制的にストレスを発散
鈴木先生によると、泣く以外でもこのサイクルは生み出せるという。
「食事やお風呂に入る、ヒーリング音楽を聴く、マッサージやストレッチ、複式呼吸などの方法があります。また、『笑うこと』にもリラックス効果があります」(鈴木先生)
さらに鈴木先生は、泣くことが眠気以外にも心身に影響を与えることを教えてくれた。
「泣くことというのは不思議な現象で『人間特有の生理反応』です。そして、泣くことには、抑制していた感情を解放し、強制的にストレスを発散させてリラックスさせる効果があります。自律神経のバランスが整えられることにより、内分泌や免疫などを調整、健康を維持する効果があるのでは、とも考えられています」(鈴木先生)
そのメカニズムはまだ謎が多いというが、ストレス社会の現代、解明されればおおいに役に立ちそうだ。
■我慢せず思いきり泣こう
では、泣くことを我慢するとどうなるのだろうか。
「東邦大学の有田秀穂名誉教授によると、泣くことの癒し効果は、一晩の睡眠に相当するほど大きいと報告されています。逆に、泣きたいときにいつも我慢しているとストレスになり、体調を崩す原因になる可能性もあります。感情が高まって泣きたくなったときは、我慢せず泣いてみてはいかがでしょうか」(鈴木先生)
泣くことによって自らが癒され、ストレスをリセットできるなら、我慢する必要はなさそうだ。皆さんもストレスがたまった時、思いっきり泣いてみては?
「教えて!goo」では、「あなたは大泣きした後、眠くなりますか?」というアンケートで皆さんの回答を募集中だ。
●専門家プロフィール:鈴木 飛鳥
医療法人長岡内科医院院長 医学博士。生活習慣病、消化器疾患の治療を得意分野とする。安心、安全で質の高い医療を提供し、地域医療に貢献することに力を注いでいる。
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)