■横領した30億円をFXで溶かした猛者も…最近起こった巨額横領事件
ここ数年、巨額横領事件が数多く発覚している。例えば、2007年6月には富士ゼロックス社員が架空取引で仕入れたPC約5300台(約11億8000万円相当)を転売、08年3月には茨城県国民健康保険団体連合会の職員が保険料11億391万5000円を着服、09年11月には近鉄ビルサービス社員が社内の銀行振り込みシステムを不正に操作して自分名義の複数の口座に約10億5200万円を振り込むなど、10億円を超える大規模な横領事件が発覚しているのだ。
さらに、今年5月には「シンプレクス不動産投資顧問」の預金管理を託されていた公認会計士が約30億円を横領し、ほぼすべてをFX投資につぎ込んで損失を出していたという事件も発覚した。
「横領事件が増えているという実感はありませんが、終身雇用制が守られていた時代であればいずれ収入は上がっていくというモデルがあったけれども、最近は雇用体系もさまざまで収入の増加も見込めない。そういう社会状況で目の前のお金の誘惑に負けてしまって横領に手を染めるという人が出てきている可能性はありますね」
と語るのは、社会保険労務士の吉川直子氏。実際、ある経営者から「横領しない人材を採用するにはどうすればいいのか」という相談を受けたこともあるという。
「借金を抱えているとか生活環境が厳しい人が横領をする、というわけでもないですし、採用時に見分けるのは困難。それに、むしろ横領が行われるのは人材の問題ではなくて、社内体制に問題がある場合がほとんど。社内管理やチェック態勢が整っておらず、不審なお金や商品の動きが管理職まで上がってこないため、発覚までに時間がかかり、被害が拡大してしまうケースが見られますね」
数年前に旧社会保険庁で年金横領事件が大量発覚したのも頷ける。横領事件は個人の資質より企業の体制が引き起こす犯罪なのかも。
◆社会保険労務士・コーチ型人材コンサルタント、吉川直子氏 よしかわ労務コンサルティング代表。法的なアドバイスにとどまらず、人材コンサルタントの要素をプラスした人事のトータルサービスを提供。http://yoshikawa−roumu.com/【続きを読む】
