日本人も昔はセンスのかけらもない爆買いをしていた

★ドン・キホーテのピアス

2016.05.01

 がしがしと『イントレランスの祭』の公演を続けています。4月29日〜5月6日は「よみうり大手町ホール」でやります。チケット、ありますのでググってみて下さい。

 制作が大阪公演(4月22日と24日に終了)に向けて準備している時に「ひぇー! ホテルがないっ!」と叫びました。大阪、ホテルが慢性的に不足しているようです。USJ(大阪的には、ユニバですな。なぜ、大阪人はマクドとか三文字に略するのでしょうか)の大ヒットと、外国人観光客の激増によって、大阪ホテル戦争が勃発しているわけです。

 東京もそうですが、街を歩いていて、本当に「外国人観光客」が増えました。気がつくと、交差点で周りがすべて中国人なんてことも普通になってきました。

 で、一部で「外人ばかりでなんだか嫌」なんてことを言ったり、書いたりする人か出てくるわけです。

 以前、新宿のラーメン屋さんのカウンターに座っていると、中国人のグループ客が4人ほど入ってきました。一人、女性がティッシュで鼻をかんで、そのテッシュをそのまま、カウンターの上の箸置きの横に置いたことがありました。床に捨てるわけでも、ゴミ箱を探すわけでもなく、当然のようにカウンターの上に放置したのです。さすがに驚きました。当然のように、その女性はラーメンを食べて、ティッシュを残したまま、店を出て行きました。

 なんだかなあと思いながら、しかし、ヨーロッパで四十年位前は、日本人が同じことをしていたんじゃないかなあと、考えてしまうのです。

 今から三十年位前、僕が初めて海外旅行に一人で行った時は、欧米で出会うアジア人はもっぱら日本人でした。団体さんにもよく会いました。

 海外で同胞に会うと、なんだか、海外の貴重さ(?)が消えるような気がして、つい、距離を取りました。日本人でいっぱいのお店にはなるべく入らないようにしました。

■日本人も昔は同じことをしていた

 宮崎駿さんが言っていました−−ジブリ美術館に中国人がやって来てここからここまでと、お土産を爆買いして、スタッフが顔をしかめているが、日本人も昔は海外で同じことをしていたんだと。

 バブルの時代、1980年代までは、欧米の有名なブランドショップで日本人しかいない風景を、僕は何度も見ました。そして、店員のにこやかな笑顔の下にある、侮蔑した雰囲気も。

 でも、きっと、ヨーロッパでも、田舎成金が都会のショップで、「ここからここまで」と、センスのかけらもない爆買いしていた時期があったはずです。それが、やがて、日本人になり、中国人になったのです。

 今、ニューヨークやロンドンに行って、出会うアジア人は、みんな中国人か韓国人です。本当に日本人は少なくなりました。

 ヨーロッパでは、昔「最近は日本人が多くて嫌になる」なんてことを言ってた人がいて、「いや、これも時代の流れなんだから、どううまくつきあうかじゃないか」と言ってた人がいたのです。

 問題は、「嫌になる」という人が多いのか少ないのか、だと思います。

 で、日本人も同じだと思うのです。「最近は中国人が多くて本当に嫌になる」と、某マンガ家さんの最近の発言のように言ってしまうのか、「いや、2020年に向けて、まだまだ増えていくのだから、どううまくつきあうか、考えよう」と言うかの違いだと思うのです。

 僕は昔、嬉々としてニューヨークとかロンドンを歩き回りました。あの時、「日本人は来すぎなんだよ。来るなよ。ふざけるな」と言われていたら、その国を大嫌いになっていたでしょう。

 もちろん、いくつかの街で、あきらかな差別的な扱いを受けたことはあります。予約をしたレストランで、窓側の席が空いているのにトイレに近いテーブルに案内されたり、公園を歩いていて後ろから何回も小石を投げられたり、いろんな嫌な思いをしました。

 けれど、総体的には、受け入れようと努力してくれた人が多かったと感じられた国を好きになったのです。

 日本もまた、外国人観光客にとって「大嫌いな国」になるか「大好きな国」になるか、ここ数年が勝負の重要な時期が来ているんだと思います。

文/鴻上尚史

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