あえて、高校野球ではご法度の審判批判をする中井に、ネット裏は騒然となった。確かに、試合のムードが判官びいきだったことは否めない。無名だった公立校の優勝に、主催者と高野連が狂喜乱舞したのも事実。結局、高野連が中井の処分を「厳重注意」にとどめたことは、何かを物語っている。その時の中井の胸中はこうだった。
「優勝できなかった腹立ちまぎれじゃない。真っすぐ生きろ、と説いてきた生徒たちに、あの判定をどう説明すればいいのか。泣き寝入りしたら、私が生徒に何も言えなくなる」
この10年間、中井は歴代の部員に佐賀北戦のビデオを見せることを恒例としてきたが、「見て、私が一番泣いてきた」と苦笑いする。
“広陵男塾”を率いる男は「文句を言ったけど、あの時から指導方針はブレていない。悔しいと思ったからこそ頑張ってこれた。悔しいから、次の日も頑張れるんです」と胸を張った。(敬称略)=つづく