講座などで登山についてお話をするとき、「登山は最も効果的な有酸素運動のひとつである」と伝えている。長時間継続して行う有酸素運動の代表格はジョギングや水泳、エアロビクスだが、長時間といってもせいぜい1時間が限度だろう。登山の場合は短くても1時間、長ければ10時間前後の行動になる。ゆるく長く歩き続けることで、より効果的に脂肪を燃焼できるのだ。
という話をすると、必ず「じゃあ、登山はダイエットに最適ですね!」と聞かれるが、残念ながら答えは「NO」。実際、私は登山を20年近く続けているが、中肉中背だ。激烈に太ってはいないが、痩せてもいない。20年前から体形もほぼ変わっていない。
登山では、確かに体を動かすことでエネルギーを消費するが、快適に体を動かし続けるために、消費した分のエネルギーを摂取しながら行動する。水分も同様で、汗や呼気から放出した水分を補給しながら歩く。エネルギーが不足した状態で歩き続けると、体が動かない「シャリバテ」になってしまう。ダイエット目的で登山をするから行動食を食べない、というのは、絶対にしてはいけないことなのだ。
多くの人は気持ちよく登山を終えて達成感が得られると、下山後にご褒美や打ち上げと称して美味しいものを食べたり飲んだりする。きつかった登山のときほどトンカツやらカレーやら、お腹にガッツリたまるものを食べたくなるし、いい登山ができれば仲間と美味しいビールをたらふく味わいたい。つまり、通常は消費した以上のカロリーを下山後に摂取してしまう。痩せるわけがないのである。
