チームの強弱に関係なく、球団身売りを経験しているパ・リーグ。対照的なのはセ・リーグだ。巨人、阪神など伝統のある老舗球団にはそんな切迫した思いはないだろう。それだけに、危機管理能力に疑問符が付く。いざ大危機に見舞われた際に右往左往の不安がついて回る。
昨季はリーグ連覇の巨人に次ぎ、阪神が2位、中日が8年ぶりのAクラス入りで3位に入った。集客能力の高い、伝統ある御三家がAクラスに勢ぞろいした。
表面的には万々歳のように映るが、実態はお寒い限りだ。巨人の大独走を許した阪神、中日は、帳尻合わせで、結果オーライのAクラスに過ぎない。むしろ巨人大独走を許した元凶として、戦犯扱いされても反論の余地はないだろう。
評論家諸氏のペナントレース予想で、ダークホースとして評価の高かったDeNAも戦犯だ。万馬券の大穴という期待を裏切り、結局、ラミレス監督解任、生え抜きの三浦新監督が誕生している。
DeNAの場合、違った角度からの新風待望論もあった。「セ・リーグにもようやく時代の主流であるIT企業が参加し、新風を吹き込んでくれるのでは」という期待だ。
2011年、V9巨人の主力ナインの1人で日本ハム監督、ヤクルトでは監督、ゼネラルマネジャーを経験している高田繁氏が、GMに就任。巨人の後輩で人気のある中畑清監督を招へいした。「年は取っていても元気いっぱい、マスコミ、ファンへの発信力は抜群」と高田GMの太鼓判通りに中畑人気は群を抜いていた。
が、同時に球団内部では高田-中畑巨人コンビに対するやっかみがひどかった。中畑内閣には大事な投手陣を任せられる気心の知れた巨人OBの投手コーチも不可欠だったのだが…。
「オレと清が入っただけで、巨人OBが球団を乗っ取ったような騒ぎになってしまい、とても巨人OBの投手コーチを招くどころではなかった」
硬骨漢の高田GMがこう嘆くような非常事態では、チームを根本的に改造できるワケがない。巨人人気におんぶにだっこのセ・リーグ他球団なのに、肝心かなめの時には巨人アレルギーでは話にならないだろう。
その裏には、セ・リーグに初参入したIT企業のDeNAに対する地元・横浜側の根強い反発もあった。球界関係者がこう内幕を語る。
「TBSから横浜球団を買収したDeNAは本拠地を横浜から静岡に移転させる青写真を持っていた。売店収入などが球場側に有利になっており、強い不満があったからだ。そんなDeNA側の動きに対して、本拠地・横浜側の猛反発もあり、泥仕合の様相だった」
これではセ・リーグに新風を吹き込むIT企業参入どころの話ではなかった。
現在では、地元・横浜との波風は収まり、球場は東京五輪の野球会場にも決まって改装もされている。「DeNAもすっかり横浜の市民球団として定着した」と、ようやく球界内外で評価されるようになったところへの新型コロナウイルスの感染拡大だった。
交流試合、日本シリーズで勝てず、パ・リーグの引き立て役に成り下がってしまったセ・リーグ。その地盤沈下はとどまることを知らない。(江尻良文)