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「ニュース特集の違和感」 1社だけの商品紹介は「宣伝」で見返りあれば「ステマ」…ニュース番組の使命は視聴者に役立つ生活情報を伝えること

 【テレビ用語の基礎知識】

 最近、ニュース番組で特集を見ていると、漠然と違和感を持つことがよくあったのですが、それが何なのかに、この間気がつきました。全く違和感を覚えない方も多そうな話で、私が「古いテレビ報道マン」なだけかもしれません。でも結構この違和感は大切だと思うので、書かせてもらいます。

 それは「経済系のニュース特集で、1社だけの商品やサービスを紹介するのが当たり前になっている」ことです。

 「こうした立派な取り組みをする企業がある」「こんな画期的な商品を開発した企業がある」

 --確かにその話題にはニュース価値があるのかもしれませんが、1社だけを特集して紹介したら、それはニュースではなくて「宣伝」ではありませんか?

 かつて僕がニュースのディレクターをしていた頃は、特集で1社だけの商品やサービスを紹介するのはほぼNGでした。ニュースが特集するのは「社会現象」です。いくつかの企業の商品やサービスを取り上げて「こういうトレンドがある」という内容にして初めてニュースでやるべき価値ある社会現象だと僕は教わった気がします。

 「企業の宣伝にしてはダメで、視聴者の役に立つ生活情報を伝えるのがニュース番組の使命だ」と先輩に言われたと思います。

 テレビCMはたったの15秒で、結構な値段がします。でも、ニュースの特集で取り上げてもらえば、かなり長い時間放送されてもお金はかかりません。ですからニュース番組にはたくさんのPR会社や、企業のPR担当者が、「うちで扱っているこの商品を取り上げてください」とネタの売り込みにやってきます。

 誤解のないように言いますが、PR会社の人は悪くありません。彼らの情報も大切です。問題はニュースの担当者が「いかにPRの人たちときちんと付き合い、情報を精査するか」ということなのです。各企業から提供された情報の中から、世相やブーム、新しい動きを読み取って、複数のソースを比較検討した上で、視聴者の役に立つ情報をお伝えするのがニュース番組の役割ではないでしょうか。

 たまに「担当者とPRの不適切な関係」が噂される番組の名前を聞くことがあります。何らかの見返りを前提に特定企業の商品を宣伝すれば、それは「ステマ」です。癒着までではないにしろ「局の営業活動と一体化したニュース特集」はいかがなものでしょうか? そこまでいかなくとも「1社だけ紹介する特集」も、僕には少し偏った、おかしなものだと感じられてしまうのです。

 ■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。上智大学文学部新聞学科非常勤講師。1992年テレビ朝日入社。スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」、「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。近著に『アクセス、登録が劇的に増える! 「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版)。

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