親戚付き合いをしている70代女性が、1週間前に最新の大型テレビを買った。ネットフリックスには韓国映画や韓国ドラマが見切れないほどあるという噂を聞き、私にセッティングしてくれという。
私は彼女の家に出向いて、ネットフリックスの登録を済ませ、番組の選び方や検索のやり方を教えた。最初は彼女は少し手間取っていたが、30分もすると大概の操作を覚えてしまった。
そして1週間くらいすると彼女からメールが届いた。
「ネットフリックスで、朝から晩まで、韓国三昧よ」
結果、BS放送を含めてニュース以外はまったく民放を見なくなったという。彼女が楽しそうにしていたので私もうれしかったが、同時に、多少なりともテレビが収入源になっている私としては感慨深いものがあった。
どこでテレビは潮目を読み違えたのだろうか。あるいは、間違えたのではなく、おおもとのプラットホーム自体が変わったので、避けられない流れなのか。
かの大手広告代理店が本社ビルを売却してスリムアップしたように、いずれにせよ大きな変化は避けられないはずだ。
役者としてできることは、ネットフリックスでも舞台の小劇場でも、どこに呼ばれても最高の「素材」になるべく精進するだけだ。
■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。主な出演番組は『アウト×デラックス』(フジテレビ系)など。YouTube公式チャンネル『大鶴義丹の他力本願』も随時更新中。公開中の映画『めぐみへの誓い』で拉致の実行犯役を演じる。
