だが「人流」自体を起こしてはダメだといわれるこのご時世、唯一の才能を否定されたようで、心の奥が折られるような気持ちになるという。苦肉の策で取り入れてはいるが、自分の哲学とは真逆にある「テイクアウト」や「デリバリー」には、どうしても魅力を感じないらしい。
昭和からバブル、平成、令和と続いてきた「ゲーム」のルールが、一気に変わった。それは私たちエンターテインメントの分野でも同じであろう。
6600万年前、現在のメキシコ・ユカタン半島に巨大な隕石(いんせき)が衝突した。無数の生命であふれていた楽園は消滅し、地球規模の大災害が引き起こされ、生物のおよそ80%が死滅したといわれる。地面から舞い上がったちりで気候変動が起き、地球を支配していた巨大な恐竜たちは絶滅した。
代わりに地上で台頭し始めたのは、小型で寒さにも強かった私たちの祖先でもある、小型の哺乳類だ。
それまでの地球環境では、大きくて強いことが生物として一番効率的であったのだろう。だが気候変動という「ルール変更」により、小型の哺乳類が有利になったのは分かりやすい話だ。
予告もなしに、地球上で繁栄していた恐竜を絶滅させるような「ルール変更」が起きるのも世の理。いろいろと腹が立つし、うまくいかないことばかりだ。
だが、今日も晴れた空の向こうから、巨大隕石が落ちてくることもないので、笑顔で過ごそうと思った。
■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。『すばる』で小説『女優』を連載中(全3回)。公開中の映画『めぐみへの誓い』で拉致の実行犯役を演じている。YouTube公式チャンネル『大鶴義丹の他力本願』も更新中。
