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【大鶴義丹 それってOUTだぜ!】恐竜の死を連想、予告なしコロナ禍の「ルール変更」 エンタメ業界も他人事ではない

某有名レストランでシェフを務め、英語も堪能で、外国人の常連ファンも多かったスターシェフがその店を辞めたという話を聞いた。

私も、その素晴らしい店には2度ほどお世話になっている。彼のようなポジションの方でもそんな状況だ。飲食業界がいかに苦境に立たされているかと、身につまされる思いだ。

言うまでもなく、このコロナ時代、とくに飲食業界ではあちこちで「焦げ臭い話」がくすぶっている。

私たちエンタメ業界も他人事ではないのだが、その手の大型店舗にとって、一番のウイークポイントは高額なテナント費だ。お客が来ても来なくても巨額のランニングコストが必要となる。無店舗商売が多い私たち業界との一番の違いだろう。

「ジッと嵐が過ぎるのを待て」が最良の策であるのは分かり切ったことだが、待つこと自体が有料といわれたら、たまったものではない。

去年、エンターテインメント系と呼ばれるレストランを数多く経営している某若社長と食事をした。既成概念にとらわれないレストランをいくつもプロデュースしたことでも有名な方である。

彼いわく、自分たちのようなタイプの経営者というのは、経営理論の天才でもなく、料理の鉄人でもなく、学生時代からイベントを企画して、あの手この手で「人流」を起こす才能だけでここまでやってきた。だから「人流」を起こすことにおいてなら、今この場でもすぐに何かイベントを始められるくらい、自信と経験がある。とにかく人を集めることだけは、物心のついた頃から常にナンバーワンで、その才能だけは負ける気がしないと。

だが「人流」自体を起こしてはダメだといわれるこのご時世、唯一の才能を否定されたようで、心の奥が折られるような気持ちになるという。苦肉の策で取り入れてはいるが、自分の哲学とは真逆にある「テイクアウト」や「デリバリー」には、どうしても魅力を感じないらしい。

昭和からバブル、平成、令和と続いてきた「ゲーム」のルールが、一気に変わった。それは私たちエンターテインメントの分野でも同じであろう。

6600万年前、現在のメキシコ・ユカタン半島に巨大な隕石(いんせき)が衝突した。無数の生命であふれていた楽園は消滅し、地球規模の大災害が引き起こされ、生物のおよそ80%が死滅したといわれる。地面から舞い上がったちりで気候変動が起き、地球を支配していた巨大な恐竜たちは絶滅した。

代わりに地上で台頭し始めたのは、小型で寒さにも強かった私たちの祖先でもある、小型の哺乳類だ。

それまでの地球環境では、大きくて強いことが生物として一番効率的であったのだろう。だが気候変動という「ルール変更」により、小型の哺乳類が有利になったのは分かりやすい話だ。

予告もなしに、地球上で繁栄していた恐竜を絶滅させるような「ルール変更」が起きるのも世の理。いろいろと腹が立つし、うまくいかないことばかりだ。

だが、今日も晴れた空の向こうから、巨大隕石が落ちてくることもないので、笑顔で過ごそうと思った。

■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。『すばる』で小説『女優』を連載中(全3回)。公開中の映画『めぐみへの誓い』で拉致の実行犯役を演じている。YouTube公式チャンネル『大鶴義丹の他力本願』も更新中。

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