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【大鶴義丹 それってOUTだぜ!】感服のYouTubeドキュメンタリー 林真須美死刑囚の冤罪の可能性を丁寧に描く「和歌山毒物カレー事件」 生々しさに「もしかしたら…」の感情が

言わずと知れた「和歌山毒物カレー事件」。当時のメディアスクラム報道は今もあせることなく記憶に残っている。

殺人罪などで2009年に死刑が確定した林真須美死刑囚(59)が逮捕前、報道陣に対してホースで水をかける映像はあの時代を象徴している。

今回、彼女は新たに再審請求を申し立てた。死刑確定後の09年にも、再審請求をしているが、再審は認められなかった。それを不服として最高裁に特別抗告をしている。また林死刑囚の弁護人である生田暉雄弁護士は「無罪とするべき明らかな新証拠を発見した」と主張している。

林死刑囚が冤罪(えんざい)である可能性を丁寧に描いているYouTubeドキュメンタリー番組シリーズが話題となっている。チャンネル名は「digTV」、現在は第7話まで公開中だ。

番組コンセプトは、既存のマスメディアが取り上げないテーマを独自取材で発信すると説明されている。そのシリーズ第1弾が「和歌山毒物カレー事件」の冤罪の可能性と新たな真相だ。

私は7話を通して見たが、スポンサーありきのテレビでは、絶対に不可能なスタイルで掘り進んでいく、いわばドキュメンタリー映画のような重厚さがある。

番組全体に流れている空気感は作り物ではない迫力があり、これを見てしまうと、制約だらけで「亀甲縛り」となっているテレビの弱さが露見する。

YouTubeの番組というと、良くも悪くも低俗な話題性ばかりが取り上げられるが、このYouTubeドキュメンタリーシリーズには感服した。

これぞスマホひとつで、テレビ局や映画会社と肩を並べられるYouTubeの真骨頂だ。

私自身は、そのドキュメンタリーが主張する真相を手放しで受け入れるわけではないが、その番組が全身全霊でこの「疑惑」に対して立ち向かっているということだけは理解した。

そして、その生々しさに、「もしかしたら…」という気持ちになった。

林死刑囚の冤罪の可能性は、この番組シリーズだけでなく、ここ数年、他のマスメディアなどでも真剣に語られている。大勢の被害者もいる事件なので、軽々しく冤罪説を語ることは避けるが、どのリポートを読んでも検察の捜査のずさんさが「浮かび上がる」ことばかりである。

過去においても、巨大な冤罪が明らかになったことは枚挙にいとまがない。実際に死刑判決確定後事件が再審によって無罪になったことも多々。

つまり警察も検察もそういうことをする「前科者」なのだ。彼らが「前科者」をまず疑うのと同じように、私も彼らを信用できない。

もし仮に、この事件が冤罪となって、林死刑囚が釈放されたとしたら、警察と検察は解体に値するのは言うまでもないだろう。

だがそれ以上に、あのときにメディアスクラムを組んで家の周りを取り囲んだ、ワイドショーや週刊誌、新聞の記者たちは断罪されるのか。

また連日のワイドショーをにぎわした、「ホースでの水合戦」を見て嘲笑していた私自身も、罰を受けなくてはならない。無数の「せせら笑い」も万死に値する。

■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。『すばる』で小説『女優』を連載中(全3回)。公開中の映画『めぐみへの誓い』で拉致の実行犯役を演じている。YouTube公式チャンネル『大鶴義丹の他力本願』も更新中。

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