ただでさえ無駄に暑いのに、どのメディアの「お言葉」を聞いても、腹が立つか絶望感に浸るだけだ(夕刊フジだけは聖域だと忖度しておこう)。
そんな感じで世間からの情報をシャットダウンしていたので、先日、値上げを忘れて首都高速に乗ってしまい2320円という表示に飛び上がった。
だがここ10年あたりで、世間に情報があふれ過ぎているのは事実であろう。パソコンもまともに使えなかった中高年層が、当たり前のようにスマホでSNSを使いこなし、民放とNHKだけが占有していたテレビ画面にネットフリックス、アマゾン、アベマ、YouTubeが大きく居座っている。既存のテレビ番組のほうが、逆に肩身が狭そうだ。
個人差はあるが、私個人はここ10年で、日々の情報量が5倍くらいになった感じがする。それで脳が疲れないわけがない。
20年前、情報を多く扱っているのが「ぜいたく」であった時代があった。夏のビーチでノートパソコンを開いているのがスマートに見えたこともある。これから先の未来は、そういった「リモート」な世の中になっていくのだろうと。
だが実際は違っていた。強力なスマホが世の中にあふれ、高い通信速度が格安で解放されたが、それらは「ぜいたく」ではなく「重荷」にもなった。そういったものから意図的に距離を取ることがスマートになっている。
この猛暑の夏、歴史的な乱世でもあるが、イライラせずに楽しむ方法はあるはずだ。
■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。YouTube公式チャンネル『大鶴義丹の他力本願』も更新中。
