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【大鶴義丹 それってOUTだぜ!】猛暑にコロナ禍、五輪開催前の毒々しい言葉のオンパレード…世間のイライラは頂点に

2021年の夏は全国的にまれに見る猛暑のようだ。また暑い期間が長く、特に東日本と近畿はきついといわれている。

原因は太平洋高気圧とチベット高気圧が並ぶ、「ダブル高気圧」だという。それら2つが上空で重なり合い、2つの高気圧が大きな1つの高気圧のように働くそうだ。要するにラーメン・チャーハンのセットにおける、ダブル炭水化物のようなものか。

いうまでもなく、コロナ禍で世間のイライラは頂点だ。ノンアルの方には申し訳ないが、数千年前から、人間の憂さ晴らしはアルコールだと決まっている。

かのピラミッド建設においても、汗をかいた後はビールで乾杯したと石板に書かれているのは有名な話だ。そのビールの歴史は5000年前の古代メソポタミアまでさかのぼるのだから、酔っ払いの歴史も大したものである。つまり今の東京における酒の提供制限に対する反発は、人類5000年の恨みなのだ。

そこに東京オリンピックが乱入してきたのだから、世の中のイライラ度数も推して知るべしだ。競技が始まってメダルラッシュとなり、ようさく憂さも晴れようものだが、開会されるまでは、毎朝スマホで見るニュースサイトもため息が出るような話ばかり。登録しているSNSを開いても毒々しい言葉のオンパレードだった。

こうしてメディアで文章を書いていることと矛盾してしまうが、梅雨明け以降、私個人としては日々移り変わる世間の情報を可能な限り耳に入れないようにしている。

ただでさえ無駄に暑いのに、どのメディアの「お言葉」を聞いても、腹が立つか絶望感に浸るだけだ(夕刊フジだけは聖域だと忖度しておこう)。

そんな感じで世間からの情報をシャットダウンしていたので、先日、値上げを忘れて首都高速に乗ってしまい2320円という表示に飛び上がった。

だがここ10年あたりで、世間に情報があふれ過ぎているのは事実であろう。パソコンもまともに使えなかった中高年層が、当たり前のようにスマホでSNSを使いこなし、民放とNHKだけが占有していたテレビ画面にネットフリックス、アマゾン、アベマ、YouTubeが大きく居座っている。既存のテレビ番組のほうが、逆に肩身が狭そうだ。

個人差はあるが、私個人はここ10年で、日々の情報量が5倍くらいになった感じがする。それで脳が疲れないわけがない。

20年前、情報を多く扱っているのが「ぜいたく」であった時代があった。夏のビーチでノートパソコンを開いているのがスマートに見えたこともある。これから先の未来は、そういった「リモート」な世の中になっていくのだろうと。

だが実際は違っていた。強力なスマホが世の中にあふれ、高い通信速度が格安で解放されたが、それらは「ぜいたく」ではなく「重荷」にもなった。そういったものから意図的に距離を取ることがスマートになっている。

この猛暑の夏、歴史的な乱世でもあるが、イライラせずに楽しむ方法はあるはずだ。

■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。YouTube公式チャンネル『大鶴義丹の他力本願』も更新中。

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