そんな時代を知っているが故に、DaiGoさんのような次世代の若者が、ネットのパワーを使ってテレビ業界を糾弾する姿は痛快でもあった。私たちにはそんな勇気もネットという武器もなかった。だから迎合して無理やり尻尾を振ったこともある。
彼のYouTubeチャンネルは以前から見ていたが、今回の問題になった「ホームレス軽視発言」以外の動画は、彼の才能が遺憾なく発揮されていて本当によくできていると思う。
私たちの世代では絶対にできないような奇才とスピード感だ。彼と同世代の若者が、何百万人とフォロワーとなるのも納得ができる。中には信者のようになっている者もいるだろう。
YouTubeというシステムのすごいところは、建物から社員全員のマンパワー、理屈上におけるテレビ局が持つ動画配信システム丸ごとが、スマホの中に入り込むということだ。
だが、そこに落とし穴があった。大きなパワーを個人に委ねるが故に、スピードとパワーに酔いしれてしまうこともある。結果、くだらない発想の空回りが止まらず、今回のように倍々ゲームで最悪の答えにたどり着く。
今回、DaiGoさんの失敗はその典型で、周りにブレーキをかけるスタッフやブレーンがいれば簡単に回避できただろう。だが、その手法はある意味で「旧態依然」としたことでもあり、奇才のすべてをスピーディーに発信することがYouTubeの本質本懐だ。
だが忘れてはいけないのは、その責任もすべて個人に圧しかかってくるのだ。
■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。YouTube公式チャンネル『大鶴義丹の他力本願』も更新中。
