先日、人気女性アナウンサーの「宅飲みパーティー写真」が流出して、大手週刊誌に報じられたのは記憶に新しい。
その週刊誌によると、大学時代の同窓生仲間だという。昨今、テレビ業界のスタッフによる「打ち上げ転落事故」などが話題になった矢先のことなので、「宅飲み」とはいえ、脇が甘いとしか言うほかはない。ましてその写真は流出したというのだから、人間関係も再考すべきだろう。
だが逆の見方をすると、いよいよ私権である「宅飲み」までもが犯罪扱いされるほどに、日本がコロナ禍に追い詰められているともいえる。
とくにワイドショーなどが、コロナ禍における「感染防止モラル」を強く打ち出しているが故に、大上段にモノを言っているテレビ業界の人間の「失態」が、市井の恨みを買うのは無理もない。
しかし、コレを報じた週刊誌にも同じ「ブーメラン」が回ってくることを忘れてはいけない。出版社の人間も同じように襟を正す必要が出てくる。結局はキリがない。まるで互いに監視しあっている密告社会だ。
また政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長が理事長を務める公的病院で、コロナ患者用の病床が十分に使われていないという疑惑が報道された。しかもコロナ専用のベッドには、それを使わなくとも補助金が出るのである。自由主義経済だというのに、なんとも不思議な料金体系だ。
しかし、もし本当にコロナ対策の長が、これを意図的に行っていたならば、ボッタクリどころか「国賊」レベルの話だろう。
だがこれは政府の「尾身つぶしリーク」という噂もあるので、この先の展開を冷静に注視する。
《アナウンサーの宅飲みがつるし上げられ、コロナ対策長の、コロナ給付金ボッタクリ疑惑》
この2つはまったくレベルの違う話であるが、私はある意味でこの時代を象徴する話題であると感じた。平時から考えると、どちらもとても「奇怪」な話である。10年後に振り返ったとき、この言葉を私はどう受け止めるであろうか。
私がそのときに健康に生きていたとしたら、今の「奇怪」さは、一体何が原因で、誰が犯人だったのかと考えるはずだ。
政府の無策、“マスゴミ”の不安商法、無秩序なSNSなどが、まず浮かぶのは容易に予想できる。だが、その先にある、自らの内にある愚かさを潔く認められるかは疑わしい。
追い詰められているせいで、どのニュースやSNSを見ても、いつも誰かが悪いという話ばかりだ。もちろん、それは私の中で渦巻いている感情であり、誰でもいいから、犯人らしき者をつるし上げたい気持ちは同じ。だが自分のどこが悪いということを考えることは、皆、なかなかできない。このバカげた毎日の原因のひとつに、自分の愚かさもあるはずなのだ。
この地獄じみたコロナ禍のなかで、唯一の「拾い物」があるとしたら、平時において、私たちがずっとごまかし続けて見ないようにしてきたモノと、こうしてやっと対峙(たいじ)する機会を得たことだろう。
■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。YouTube公式チャンネル『大鶴義丹の他力本願』も更新中。