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「非共産」維新・国民連携か 同じ「改革」重視の立場 実現なら政治を「保守」「中道」「左派野党」に再編1/1ページ

日本維新の会の松井代表(左)と、吉村副代表。国民民主党の玉木代表と大同団結できるか
日本維新の会の松井代表(左)と、吉村副代表。国民民主党の玉木代表と大同団結できるか

衆院選の余波が続いている。絶対安定多数に達して勝利した自民党は4日、小選挙区で敗北した甘利明幹事長の後任に茂木敏充外相を充てる人事を決定した。辻元清美副代表が落選するなど惨敗した立憲民主党は、枝野幸男代表の辞意表明を受け、代表選は混戦模様だ。玉木雄一郎代表の国民民主党は「非共産」を明確にし、衆院で構成してきた立憲民主党、共産党、社民党との枠組みから離脱した。激動する永田町。日本維新の会と国民民主党に期待される「改革中道」の大同団結とは。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が考察した。

今回の衆院選は勝敗を別として、与野党ともに「想定外の打撃」を被った。それぞれ、「名を知られた大物」が落選したのだ。今後の政局にも影響を及ぼす可能性が高い。

自民党では、甘利幹事長が小選挙区で敗北し、辛くも比例代表で復活当選した。甘利氏は幹事長を辞任し、後任に茂木氏が就任した。

甘利氏の小選挙区落選は「政治とカネ」の問題と、その対応への有権者の厳しい目を象徴している。甘利氏本人と、幹事長に任命した岸田文雄首相(総裁)とすれば、問題が起きたのは2016年1月で、5年以上もたっているので「ほとぼりは冷めた」とみていたかもしれない。

だが、落選運動が展開されるほど、批判は再燃した。今後は誰であっても、「政治とカネ」の問題では、よほど説明責任を尽くさないと、要職に就くのは難しい。「政治とカネ」は以前にも増して、政治家の致命傷になったのだ。

ほかに、石原伸晃元幹事長や、野田毅元自治相、山本幸三元地方創生相、原田義昭元環境相らが落選し、比例復活もかなわなかった。これは「世代交代」を示している。

党を直撃したのは、立憲民主党の惨敗だ。

あの「ソーリ、ソーリ」で名をはせた辻元氏をはじめ、平野博文代表代行、官僚を追及する「合同ヒアリング」で常連だった川内博史、今井雅人、黒岩宇洋ら各氏も落選し、いずれも比例復活できなかった。

枝野代表は惨敗の責任をとって、代表辞任を表明したが、これは当然だろう。

私は、報道各社の事前の世論調査や当日の出口調査でも「野党連合の健闘」が報じられていたにもかかわらず、蓋を開ければ、最終的に岸田政権与党が勝利したのは、「共産党に対するアレルギー」が大きな理由だった、とみている。

いくら閣外協力とはいえ、「日米安保条約の廃棄」や「自衛隊の解消」を綱領に掲げた政党が政権を担うのは、さすがにギリギリの局面で、多くの有権者が「ノー」を突きつけたのだ。言い換えれば、与党は「敵失」で勝利したようなものだ。

そうだとすれば、今後の大きな焦点は「立憲民主党が共産党との共闘関係を維持するのかどうか」になる。

立憲民主党が新体制に変わっても、共闘関係を維持するようなら、今回と同様、来夏の参院選でも多くの有権者は共感しないだろう。逆に、立憲民主党が共産党ときっぱり手を切れば、展開は変わり得る。

だが、私はそうならないとみる。なぜなら、「どこまで行っても左派は左派」だからだ。政治の世界で「あいまいな左派」とは、ほとんど言語矛盾に近い。両党の間には「市民連合」という強力な接着剤もある。

注目したいのは、松井一郎代表(大阪市長)と吉村洋文副代表(大阪府知事)が率いる日本維新の会と、玉木代表の国民民主党の躍進だ。両党は「改革」を掲げ、現実的な立場を重視している。私は投開票当日、ニッポン放送の番組で国民民主党の大塚耕平代表代行に申し上げたが、両党の大同団結を期待したい。

それが実現すれば、政治は大きく「保守」と「中道」「左派野党」に再編される。バランサーとなる中道勢力の存在感、発言力も高まるはずだ。

■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ)ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。


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