日本の元気 山根一眞

「骨粗鬆症」治療薬の実現も視野の研究 伝えたい文化功労者・須田立雄さんの「偉業」1/2ページ

宇宙卵実験準備中だった49歳当時の須田立雄さん(柿沼隆撮影)
宇宙卵実験準備中だった49歳当時の須田立雄さん(柿沼隆撮影)

今年の文化功労者の中に、基礎歯学・生化学の昭和大学名誉教授、須田立雄さん(86)の名を見つけ、うれしくなった。

私が須田さんに初めてお目にかかったのはおよそ40年前。宇宙医学の資料に須田さんの名があり、興味をもち訪ねたのだ。当時、地球に帰還した宇宙飛行士の尿にはカルシウムが多く排泄(はいせつ)されていることがわかっていた。宇宙では骨が溶けてしまうのか? 人体のカルシウム代謝を研究していた須田さんは、そのメカニズム解明の宇宙実験に取り組む準備中だった。

成人は、食事から骨を構成するカルシウムを毎日0・15-0・2グラム、腸から吸収しているが、同量のカルシウムを尿で捨てている。骨は、カルシウムを溶かし捨てる一方で新しい骨を作っているのだ(骨のリモデリングと呼ぶ)。

こうして骨は2年でまったく新しいものに作り替えられている。これは、曲がった骨でも正しい姿勢、運動、骨形成に欠かせない活性型ビタミンDの摂取を続けることで、元に戻せる可能性を思わせる。

一方、カルシウムを捨てる量より新たに取り込む量が少なければ骨はスカスカになる。骨のリモデリングには条件があり、体に負荷をかけていないと進まない。宇宙飛行士は無重力状態で過ごすので体への負荷がないため、カルシウムが減っていく一方なのだ。宇宙飛行士の若田光一さんに「国際宇宙ステーションで毎日2時間運動をしていました」と聞いていたが、それは骨のリモデリングのためだったのだ。

初取材の日、須田さんはH・G・ウェルズの『宇宙戦争』の挿絵にあるタコのような火星人の図を指し、「これは理にかなった図です。体の負荷が小さければ筋肉や骨はどんどん細く退化しますから」と語ってくれたことが忘れられない。須田さんは学生時代にこの絵を見て、無重力と骨格系の関係に興味を持ったのだという。

zakスペシャル

ランキング

  1. 「南海トラフ」の前兆か 未明の大分、宮崎を襲った震度5強 列島周辺で頻発する強い揺れ「すでに始まっているといってよい」識者

  2. 渋野日向子、米ゴルフツアー出場は3戦目「ドライブオン選手権」か?

  3. 小池栄子にじみでる女優の矜持、大河「鎌倉殿」で〝裏主演〟 ガッキーとのアップ合戦でも凛とした美しさ放つ

  4. 【日本の解き方】国会で見送られる重要法案 参院選まで「紛糾しそうなものを回避」慎重すぎる姿勢

  5. 迷走するオミクロン対応 「若者の検査・診断スルー」で混乱に拍車 「国と尾身先生、分科会で整合性取って」小池都知事も不快感

  6. 【大前研一のニュース時評】切れ味の鈍さ感じる「22年世界の10大リスク」 4位は中国内政「恐怖のネット企業統制」…最大のリスクは?

  7. 【艶グラドル】志田音々、盛りだくさんトレカぜひ集めてネ! セクシーポイントは「鎖骨にあるホクロ」

  8. 文大統領の「竹島」ギフト、日本受け取り拒否 韓国政府に強く抗議 旧正月の慣例として相星孝一大使宛てに送付

  9. 飲食店社長が激白、自治体要請の〝矛盾〟「休業要請の有無によって業績に大きな開き…本来あるべき姿ではない」 「地方への支援金」の拡充を

  10. 【菅原大地のサイコースイング】スイング作りの練習とショット練習は分けて考える