大切な人と誠実に生きる“すてきな日常” テレビドラマの延長線上の安心感 「劇場版 きのう何たべた?」1/1ページ

人のつながりを感じさせてくれる映画だ
人のつながりを感じさせてくれる映画だ

現在公開中の『劇場版 きのう何たべた?』。俳優の西島秀俊(50)とダブル主演した内野聖陽(53)が紫綬褒章を受章したタイミングでの公開に宣伝関係者も「持っている映画」とニコニコだ。

ゲイバレ(ゲイがバレることを表現する劇中で使われる言葉)を恐れる弁護士のシロさん(西島)と、ゲイを隠さずに人生を楽しんでいる美容師のケンジ(内野)の同居生活を何気ない日常として描いている。

せりふがいい。どれも自然で、特別な主張感やこじつけもなく、当たり前のように心に響く。その場で生まれているアドリブではないかと感じさせるほど、西島と内野のノーアクションバディ映画で人情噺でもある。

誕生日祝いのため、京都旅行を提案するシロさんにケンジは大喜び。そこから物語が始まる。京都の美しい風景はコロナ禍の心に染みる。

旅先でケンジは、シロさんからショッキングな報告を受ける。相手に怒りをぶつけることもなく、心に抱えようとするケンジだがどこかにわだかまりは残ったまま。そんなある日、シロさんは自宅近くの商店街で、ケンジがイケメンと歩く姿を目撃してしまう。こっそりと尾行を続けるが…。

大好きな相手がある日、突然いなくなってしまう不安。映画はそれを伝える。誰もが誰かとずっと一緒にいられる確証がないのが人生といえばそれまでだが、大切な人とずっと一緒にいたいと願うのも人間の性分だ。

仏教の世界に愛別離苦という言葉がある。どんな大好きな人でも、いつかは離れなければならない。だから人間は苦しむ。それを恐れすぎてもどうにもならないから、人は日常を誠実に大切に生きるしかない。そんな思いが映画にはあふれている。その象徴が劇中に登場する食事の数々。大切な人とおいしい料理を食べること。こんな幸せな時間はないのである。

劇中の2人には、ギクシャクする食卓時間もあるが、基本、食事の時間に重きを置き、シロさんは行きつけのスーパーで割引品を買い、キッチンに立つ。すてきな日常である。

原作はよしながふみさんの人気漫画。深夜ドラマ化されてヒットを記録し、スペシャルドラマ化もされた。その劇場版。奇抜なことは起こらず、テレビドラマの延長線上の安心感がやや強め。それがいい。

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