前日までは多くの大手メディアが「自民が単独過半数を割り込む見込み」と大々的に報じていた。出口調査も「自民苦戦」というニュースばかりだった。「大苦戦予想」が「大勝利の結果」になってしまうとは、一流のプロたちは一体何を見ていたのだろうか。これほどまでに民意とメディアが大きく乖離(かいり)している現実に、思わず背中が寒くなった。
またそれが恥ずかしいのか、多くのメディアが、その「与党の大勝利」を表立って派手に報じないことだ。大物自民党議員の落選などを声高に騒ぎながら、小声でチョコっと報じているような気がしてならない。
言うまでもなく、これはまさにトランプの勝利にも共通する現象だと思った。「隠れトランプ」というモノ言わない有権者層が話題になったが、日本にも「隠れ自民」の時代がやってきたのかもしれない。
2016年のアメリカ大統領選挙で起きたように、声の大きなリベラルと先進的な論争するのを避け、選挙で、こっそりと保守的な投票する行為だ。
オトナの事情もあり、そう簡単にはいかないかもしれないが、この「予想外し」を潔く認めて冷静に分析していかないと、オールドメディアは最後の常連客である私たち中高年も手放してしまうだろう。
今までのような調査方法や予想システムは、かなり旧式化した「真空管装置」だ。だがそれを認めて買い替える勇気があるとも思えない。
しかしダメな競馬の予想屋も、外れる占い師も、最後はお客が離れて寂しいものである。
■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。YouTube公式チャンネル『大鶴義丹の他力本願』も更新中。
