日本シリーズ 1995秘話

「イチローフィーバー」でヤクルトは完全アウェー 神戸中がピリピリムード1/2ページ

日本シリーズを前にグリーンスタジアム神戸で練習するイチローの右肩にも「がんばろうKOBE」の文字=1995年10月20日、神戸市
日本シリーズを前にグリーンスタジアム神戸で練習するイチローの右肩にも「がんばろうKOBE」の文字=1995年10月20日、神戸市

野村ヤクルトが1995年の日本シリーズ第5戦を制し、2年ぶりの日本一を決めた祝勝会場。ある選手の夫人の口から耳を疑う言葉が飛び出した。「日本一はうれしいけど…。今年はイチロー君に勝たせてあげたかったわ」。とがめるでもなく、それにうなずき合う奥様集団。あの衝撃の光景は今も記憶に鮮明だ。

事実、この年のシリーズは戦前からイチロー一色だった。当時オリックスの本拠地だった神戸が1月に大震災で被害を受けるなか、前年に20歳の若さでシーズン最多安打記録を更新したイチローは、さらに進化して打者5冠を達成。チームの優勝とともに、さらなるフィーバーが起きていた。

敵地のグリーンスタジアム神戸(現ほっともっとフィールド神戸)で行われるシリーズ第1、2戦に備えて神戸市内のホテルに泊まるころには、ヤクルトナインも自分たちが今回は完全に敵役であることを悟った。「がんばろう神戸」の合言葉があふれ返り、異様なまでに高揚した街角の雰囲気に「何をされるかわからないから、おちおち外も出歩けない。パチンコにも行けない」と震え上がったほどだ。

この完全アウェーで初戦を取ったヤクルトは、第2戦も8回に2―2の同点に追いつくと勝ち頭16勝を挙げた山部を投入。ところが先頭の福良(現オリックスGM)の打球を、照明が目に入った右翼の真中(ヤクルト前監督)が後逸し、無死三塁の大ピンチを招いてしまう。ここで山部が踏ん張って2死を奪うと、野村監督がマウンドへ。「最高のボールを投げてみぃ」と笑顔のゲキを受けた山部は勝呂を空振り三振に斬って取り、延長11回の末に連勝した。

このピンチは「周囲が暗いので、余計に照明が明るく見える」という神戸の球場に、交流戦もない時代でヤクルト側が不慣れなために起きたものだ。あれから26年たち、神宮球場など大半の本拠地の照明がLEDに変更されるなか、神戸は昔のままで今季も7試合を開催。2018年に本塁打のビデオ判定で誤審騒動も起こるなど、今や選手から「照明が暗くて見づらい」と不評が出るのだから時の流れを感じる。

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