こう思った小佐野さんは、歯を残せる方法はないかと検索をかけた。すると、「天然歯(自分の歯)を残せるEMAT治療」が目に飛び込んできた。場所は徳島県鳴門市のとみなが歯科医院。羽田空港から徳島空港まで約1時間というのも分かり、これなら一度行ってみようと。
診察した富永敏彦院長は、「骨が溶けて根の先に膿がたまっている根尖(こんせん)病変です」と診断。「通常なら抜歯しかありませんが、EMATで骨が再生するかもしれません」と言った。
EMAT(イーマット=高周波根尖療法)は、富永院長が開発し、溶けた骨を再生し天然歯も残すことを目指す最新の治療方法だ。
小佐野さんはそれを求めて東京からやってきたのだ。EMATの施術を受けて、1年経過すると、溶けていた骨(骨吸収)が見事再生され、抜歯の危機も免れた。
「あのまま放置していれば、膿が広がり、顎骨を溶かし、膿が副鼻腔に到達していた可能性があります。そうなると、歯が原因の副鼻腔炎(蓄膿症)、歯性副鼻腔炎という病気になります」(富永院長)