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子供を起点に持続可能な地域づくり 兵庫県明石市の整骨院が取り組む「SDGs活動」とは1/1ページ

休日返上で子供のケアをする高見肇さん。無料セミナーのPRも
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最近、実に多くの企業が「わが社は積極的にSDGsに取り組んでいます」とPRするようになりました。しかし具体策がはっきりせず、掛け声だけが先走りしているケースも少なくありません。

兵庫県明石市に今年7月オープンした整骨院からも、SDGs活動を開始したと情報が入りました。当初は「またか」と聞き流していましたが、活動のターゲットが小中学生と聞いて、ちょっと話を聞きたくなりました。そして実際に取材すると、目からウロコのビジネス戦略が見えてきたのです。

その整骨院はJR東海道線土山駅近くの「つかもと整骨院土山分院」。オーナーの高見肇さんは「少子高齢化が進む地域のために子供の体を丈夫にすること。それこそが整骨院のSDGsです」と説きます。なるほど、若いうちに体を整えることが少子高齢化に歯止めをかけ、ひいては持続可能な地域をつくることは理解できます。

しかし、子供たちが親になるのは少なくとも十数年後、さらに高齢者になるのは半世紀以上も後のこと。なんとも気が遠くなる話ですが、実は高見さんは、16年前まで神戸市でマクロ政策の立案を手掛けた元エリート公務員。きっと考え方もマクロになるのだろうと、さらに深く話を聞きました。

すると現在は、行政書士の仕事をしながら税理士など他の士業と組んで「みなと神戸合同事務所」を設立し、総合的な士業ビジネスの一環として整骨院を開業したという、なんとも珍しい開業プロセスが浮かび上がってきました。

キッカケは、子供の頃からサッカーを続けてきた息子さんが、大学生になってたびたび怪我するようになったこと。苦しそうな姿を見ながら「子供の頃に正しく体を整えていたら、こんなに苦しまなかったのに」との思いが募り、子供の体を整える整骨院の必要性を痛感したそうです。

そして柔道整復師の木谷裕太朗さんとタッグを組み、技術的なサポートを受けるために実績ある「つかもと整骨院」分院の位置付けで、開業に踏み切りました。

早々に始めたのがサッカー好きな小中学生のコンディショニングサポート。今、高見さんは試合のたびに会場へ出向き、柔道整復師とともに子供たちの体を整えています。さらに、一人でも多くの地域住民に元気になってもらおうと無料セミナーも始めました。11月のテーマは「しつこい腰痛の原因と改善方法」。自宅で簡単にできる体操も教えてもらえるとあって人気を集めています。

ただ、これらはいずれもボランティア活動。いくらSDGsとはいえ、せっかく立ち上げた整骨院の経営が気になります。しかし心配は無用でした。子供のために休日返上で頑張る高見さんたちの姿に感動した大人たちが次々と顧客になり、孫から評判を聞いた高齢者も整骨院に通ってくれるとか。つまり子供を起点に地域の全世代に整骨院のファンがどんどん広がっているのです。

実はこれこそが地域ビジネスの持続可能性であり、整骨院のSDGsだったのです。さすが士業ビジネス、見事な戦略に参りました!(隔週水曜日掲載)

■殿村美樹(とのむら・みき) 株式会社TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「うどん県」や「ひこにゃん」など、地方PRを3000件以上成功させた“ブーム仕掛け人”。

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