スポーツ随想

今度は政府のご機嫌取りの“弱腰IOC” ウイグル問題に女子テニス選手行方不明で揺れる「北京五輪」1/1ページ

中国の女子プロテニス選手、彭帥さん(AP)
中国の女子プロテニス選手、彭帥さん(AP)

来年2月4日に開幕する北京冬季五輪が揺れている。米国のバイデン大統領は18日、「外交的ボイコットを検討している」と明らかにした。選手は派遣するが政府関係者は行かないというわけだ。

中国の新彊ウイグル地区で暮らすイスラム教徒の少数派グループ、ウイグル族に対する人権侵害や、香港に対する政治的自由の抑圧を巡り、米議会では五輪ボイコットの声が鳴りやまない。

上院では、政府の代表団が五輪参加のため国務省の予算を使うことを禁止する修正法案が提出された。「外交的ボイコットでは弱いし遅すぎる。すべての選手や関係者、スポンサーを含め全面的にボイコットすべき」との強硬論も出ているという。もし全面ボイコットに踏み切れば、1980年のモスクワ五輪のように西側諸国に追随の可能性がなきにしもあらず、開会直前まで何が起こるかわからなくなってきた。

そんな折、中国の女子プロテニス選手、彭帥(35)=写真=が中国共産党最高指導部メンバーだった張高麗元副首相と不倫関係にあり、「性的虐待」があったことを中国版ツイッターで告白。すぐ削除され、直後に行方不明になったというから、まさにサスペンスドラマだ。

中国国営メディアは、彭帥が女子テニス協会(WTA)に送ったとされる「私は行方不明ではなく、家で休んでいるだけで問題ない」との英文メールを公開。するとWTAはすぐさま「懸念が高まった。本人が書いたと信じるのは難しい」と声明を出した。大坂なおみも「彭帥と彼女の家族の安全を願う」とのメッセージを投稿。ネット空間での言論統制が一段と厳しさを増したといわれる中国だけに事態は深刻らしい。

気抜けしたのが国際オリンピック委員会(IОC)の反応だ。WTAならずとも本人が自分の意思で書いたのか疑うのは当然なのに、メールに対してろくに調べもせず「無事との証明を力強く思う」と、中国政府に100%同調した感じだ。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが選手やスポンサーに「彭帥のために声を上げるべき」と呼びかけを始め、今後の展開次第ではボイコット論の火に油を注ぐ可能性もある。それだけは避けたいIОCとしては、「政府の批判は一切しない。その代わり、どんなことがあっても五輪開催はお願いします」とでも言いたいのだろう。

今夏の東京五輪はぎりぎりまで開催を巡ってゴタゴタが続いた。IOCは日本側をおだて上げて開催に漕ぎつけ、損失を最小限に抑えた。今度は人の安否より政府のご機嫌取り…。そのあざとさには恐れ入るばかりだ。 (作家・神谷光男)

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