日本の元気 山根一眞

「カーボンニュートラル=炭素輪廻」 大気中のCO2、産業革命前の1・5倍に1/2ページ

蒸気機関発明の28年後に登場した世界初、トレビシックの蒸気機関車。英コールブロックデール(世界遺産)での復元モデル(山根一眞撮影)
蒸気機関発明の28年後に登場した世界初、トレビシックの蒸気機関車。英コールブロックデール(世界遺産)での復元モデル(山根一眞撮影)

10月31日から開催されていたCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)が11月13日に閉幕した。この間、ニュースで「ゼロカーボン」「カーボンニュートラル」という言葉を目にしない日はなかった。人によって「好み」が違うのか、菅義偉前首相やトヨタ自動車の豊田章男社長は「カーボンニュートラル」を使っていたが、2つの用語の概念は異なる。

私は父の葬儀後、火葬場での待ち時間に外に出て、火葬場の煙突の先を見上げて悟ったことがある。父の肉体を構成していた30~40キログラムの炭素が今、CO2(二酸化炭素)となって大気中に拡散している。そのCO2はやがて光合成によってイチゴの一部となる。将来、そのイチゴを食べる私の体は、父由来の炭素で構成される。「輪廻(りんね)」とはこれか、と。

地表の炭素資源、たとえば樹木は、燃焼や分解によりCO2に姿を変えて大気中に拡散するが、再び光合成によって樹木が育ち、また大気中に……。この「輪廻」によって地表と大気中の炭素の総量は常に一定に保たれている。これが「カーボンニュートラル」だ。「ニュートラル」とは「中立」、増えも減りもしないという意味だ。

地球はこの一定の炭素量によって生態系を維持してきた。その炭素「輪廻」での大気中のCO2濃度は、産業革命までは280ppm(0・028%)だった。この濃度は、2リットルのペットボトルに落としたしょうゆ1滴よりも少ない超微量だ。

だが、その超微量CO2が大気中になければ地表の熱は宇宙に放射され、地球は氷漬けとなり生命が存在できない天体になっていた。しかし、ありがたいことにCO2は超微量でも宇宙に放射される熱の一部を地表に反射してくれる。CO2は地球にとって欠かせない防寒服なのだ。そのおかげで地球の平均気温は14度Cに保たれ、生物はその温度環境を前提に生存、進化してきたのである。

一方、人類は産業革命以降、地下に閉じこめられていた炭素、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を大量に地表上に掘り出し、エネルギーや生活財の生産に利用、高度文明を築いてきた。当然、そのガスごみ=大気中のCO2濃度は上昇してしまった。

zakスペシャル

ランキング

  1. “東証大暴落”100兆円吹っ飛ぶ 新興市場はリーマン・ショック超える惨状 冷淡「岸田ショック」に怨嗟の声、悲鳴に耳は傾けないのか

  2. 【有本香の以読制毒】岸田首相の「適切な蛮勇」に期待 弱腰の米国、さらに増長する中国・ロシア 「ウクライナ侵攻」を止められるのは日本だけか

  3. 現場は〝悲鳴〟ワクチン追加接種遅れ 対象者のわずか16%…国の初動や情報の遅れ 「岸田政権の失策、感染拡大する一方」八幡和郎氏

  4. 27年の歴史に幕、NHK「ガッテン!」で気になる小野文惠アナの去就 25年間の東京勤務に不満の声も…紅白に続く〝若返り〟策か

  5. 【ケント・ギルバート ニッポンの新常識】岸田首相は慰安婦問題から何を学んだのか? 韓国の主張を完全論破すべし! 佐渡金山を堂々とユネスコに推薦せよ

  6. 共通テスト問題流出、19歳女子大生への処分と社会的影響 カンニング目的で家庭教師紹介サイトに登録

  7. 【これだけは押さえておきたい鎌倉殿の13人】源頼朝(大泉洋) 政子を魅了し、亀を妾に 〝ガッキーを泣かせる〟困った女癖

  8. 【日本の解き方】佐渡金山の世界遺産推薦問題 韓国に配慮していないのなら、論理的に見送りはあり得ない

  9. 賭博容疑で書類送検、英乃海らに大甘処分 相撲協会の“仰天理由” 1場所出場停止で紫雷は「けん責」 キャバ通いで6場所停止、朝乃山と違いは

  10. 殺人未遂で立てこもりの男逮捕、人質の医師は心肺停止 捜査員との電話交渉で「大丈夫だ。救出してほしい」と伝えるも 埼玉・ふじみ野