マンガ探偵局がゆく

戦後から高度成長期まで描く「庶民の貴重な記録」 北見けんいち新聞連載『焼けあとの元気くん』1/1ページ

焼けあとの元気くん(提供写真)
焼けあとの元気くん(提供写真)

今回は新聞の連載マンガに関する調査だ。

「子ども時代に我が家が取っていた新聞で、日曜日には必ず載っていたマンガのことを調べてもらいたいのです。小学生の3人組が活躍するコメディで、『ぼくが子どもの頃とそっくりだ』と祖父がいつも懐かしそうに話してくれました。その祖父が先日、84歳で亡くなって、マンガのことを思い出しました。当時はアニメや特撮番組をみるのに熱心で、そのマンガはさらっと読む程度だったのですが、急に読みたくなって調査を依頼しました」 (三河っ子)

2000年代がはじまったころまで、日曜日の朝刊には今よりも分厚い日曜版がついていた。内容は芸能人や作家のインタビュー記事や子ども向きの読み物、学習記事、マンガ、クイズなど。マンガはいつもの4コママンガではなく読み切りの短編が連載されていて、子どもたちを喜ばせた。

「三河っ子」を名乗るからには依頼人は愛知県にお住まいと見た。そこから調査をすすめると、『中日新聞』(関東では『東京新聞』)の日曜版に1983年から2008年まで連載された北見けんいちの『焼けあとの元気くん』が見つかった。

舞台は戦後まもない昭和20年代のどこかの町。敗戦でビルも工場も焼け落ち、家をなくした人や失業者が途方にくれていた。食べ物は、たまに手に入るお芋がごちそう。バラックや古いバスを家代わりにしている人もいた。しかし、貧しい中でも小学校4年生の大島元気と同級生のマー坊、ター坊は明るさを失わず、毎日を楽しんでいた。

連載が進むと「焼けあと」がとれて、舞台は昭和30年代、昭和40年代と移ろっていく。そして、最後にはおとなになった元気くんがタイムマシンに乗って思い出の時代に行く設定になった。

戦後復興から高度成長時代の子どもたちの姿を描きながら、マンガの中には、ハエ取り紙、七輪、柳ごおりといった今は見ることのできなくなった家庭用品や、ベエゴマやメンコ、草ソリなど昭和の遊びが紹介されて、貴重な庶民の記録にもなっている。

最近84歳で亡くなったという依頼人のおじいさまは元気くんと同じ時代を生きてきたのだ。毎週日曜日には、思い出にひたっていたのだろう。

単行本は品切れだが、ありがたいことに電子書籍版で読むことができる。

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